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もうちょっとメイクビリーブ

寝室に入って、大切にしまってあった長方形の箱を手にとる。
もっと良い雰囲気の時に渡したかったけど、チカラに浮気と思われたんじゃタイミングなんてもう関係ない。

鈍感を通り越して、凄まじい想像力だよな、あいつ…
リビングに戻るとチカラは泣き止んでいた。良かった…

「東郷先輩……?」

不安そうな顔で俺を見つめるチカラに、俺はさっきの箱を手渡す。
チカラはきょとんとした顔で「何ですか?」と言う。

「……開ければ、わかるから」

そう言うとチカラはたどたどしい手つきで俺のプレゼントを開いた。

「……はぁ?」

……こいつは…
もっと良い反応できねぇのか?
こういうところはやっぱ男だな。

「これ……どういうことですか?」

「……お前に、受け取ってほしい」

チカラのそばに座りながら言うと、チカラは中のネックレスを震える手で取り出した。

信じられないという顔で俺を見るチカラ。
そりゃそうだよな。何しろ…

「……俺、誕生日まだですけど…」

わかってる。チカラの誕生日まであと数ヶ月あることはちゃんとわかってるんだ。

「それでも……渡したかったんだ。お前……首輪つけとかないと、逃げるから…」

チカラが不満そうな顔で俺を睨む。また『信用されてない』って、怒るんだろ?

してねぇよ。
お前は思いがけないところでとんでもなく可愛くて、時々突拍子もない行動に出たりする。

『お前は俺のもんだ』って、どんな方法で証明しても、まだ足りない気がするから。

「で、でも……そんな理由でこんな良い物、貰えません…」

「良いから、貰えよ」

チカラがまだ納得の表情を見せないから、俺はネックレスを奪いとって無理やりチカラの首に付ける。

チカラは首元のペンダントをじっと見つめた。

「……中谷?」

黙ったままのチカラが心配になって声をかける。
すると、チカラの頬に涙が伝うのが見えた。

「中谷!?わ、悪い。あの…」

謝ってみたものの、チカラの涙の原因がわからない。
浮気と誤解させたことやっぱり怒ってんのか?
それともこんな物もらっても嬉しくねぇからか?
チカラ、泣くなよ…

しばらく同じような言葉をかけ続けていると、チカラがようやく口を開いた。

「……嬉しくて…」

「……中谷」

チカラの涙が嬉し涙だとわかって安心した俺は、ようやくチカラを思い切り抱きしめることができたのだった。

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