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もうちょっとメイクビリーブ

「中谷……いつまでそんなこと言ってんだ?」

今までとはうってかわった東郷先輩の冷たい声に、思わず顔を上げた。

「信じろよ、中谷……好きだ」

そう言って俺を見つめる東郷先輩の目は、すごくかっこいい。でもこの目で見つめられた人が、俺以外にもいるんだ…

「好きだ」なんて、信じられない。こんなこと言いながら本命の女の子にはアクセサリーなんかプレゼントしたんだ。
きっと誕生日だったんだろうな…

「やめて下さいっ……わかってますから!!」

「……何をだよ?」

怒りの混じった東郷先輩の声。
なんでしらばっくれたりするんだ……!!

「と……東郷先輩は、俺がキスとか……その、ああいうのとか……拒んでばっかりだから、他の人としたくなっちゃったんでしょう!?」

「……はぁ!?」

「そ、そりゃ俺は男だし地味だし……遊ばれても仕方ないですけど、だからって黙って他の女の子にプレゼントなんてっ…」

「中谷!!……なんの話をしてるんだよ?」

「しらばっくれるのも良い加減にしてください!!こ……ここに証拠がありますから!!」

ついに俺はテーブルの下に隠していた冊子を東郷先輩に突き出した。

「なっ……中谷…」

東郷先輩の珍しく動揺した顔。
どうだと言わんばかりに俺は東郷先輩を睨み付ける。

「中谷……そうか、それ見たんだな…」

「お……お別れですね…」

言葉にしたら余計に涙がこぼれてきた。『離さない』って言ったのはそっちのくせに、なんで俺がこんなに傷つかなくちゃいけないんだ…

嫌だ、本当は別れたくないのに…

「……って、待て!!なんでそんなに話を飛躍させるんだ、お前は…」

「へ……?だって、これ本命の女の子に…」

「本命も何も俺にはお前しかいねぇよ!!これだってどう考えても…」

……どう考えても?
どう考えても女の子への誕生日プレゼントか何かじゃ…

「……ちょっと待ってろ!!」

首を傾げる俺を置いてリビングを出ていく東郷先輩。
どういうことだ……?
別れ話……じゃないよな?

だって東郷先輩、「俺にはお前しかいねぇ」って言った…
言ったよな、確かに……うん、言った。

とりあえず俺は、東郷先輩が戻るのを待つしかなかった。

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