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もうちょっとメイクビリーブ

東郷先輩って絶対教師になるべきだと思う。
優しいし、教え方わかりやすいし。

って言ったら「俺が優しくすんのはお前にだけだ」って返された。
みんなに優しくできない人は教師になれないと思う。だからやっぱダメだ。

とにかく、東郷先輩に教わったおかげで明日のテストはバッチリだ。
気が重かったけど来て良かったな…

他に訊き足りないところがないか探していると、突然東郷先輩の携帯が震えた。

東郷先輩が出ようとしないので「出ないんですか?」と言うと、「お前といる時に電話なんか出たくない」なんて恥ずかしいセリフ。

「い……良いから出て下さい!!」

東郷先輩は舌打ちをして携帯を手にとると、リビングから出ていった。
仕方ない人だな…

1人で暇を潰していると、そばにある東郷先輩の学生カバンが目についた。筆記用具を使うために持ってきてくれたのだ。
開いたままのカバンの中に見えるのは、数冊の教科書。本当に真面目な人だな…

その時、教科書の他に薄い冊子が入っていることに気がついた。
他人のものを勝手に触るなんて最低だけど、どうせ東郷先輩だし学生カバンの中身くらいどうってことないだろうって、思ってしまったんだ。

「……なんだ、これ?」

出てきたのはシルバーアクセサリーのカタログ。それも『プレゼントに』なんて見出しがついてる。

変なの。東郷先輩に似合わないし、プレゼントするような彼女もいないくせに…

……え?

頭に浮かんだのは、『浮気』の2文字。
もしかしたらこういうプレゼントをするような恋人が、俺以外にもいるんじゃ…

……いやいや、まさか。この人たぶん俺のこと好きだもん。
自分で言うのもなんだけど…

……でも、これって店に行かないともらえないヤツだよな。
もしかしたら、俺の知らない誰かに…

そういえば、ついこの間「態度を改める」とか言ってはみたものの、結局東郷先輩に対して素直になれてない。

相変わらず本番は断ってばっかだし、キスも恥ずかしくて結構拒んでるし…

東郷先輩が我慢できなくなって他の人に手を出したとしても不思議じゃない。

ど……どうしよう、不安になってきた。

俺はすごい東郷先輩に愛されてると思ってるけど、それって俺のうぬぼれなのかもしれない。

本当は俺は遊びだったりして…
もしくは、やっぱり女の子の方が良くなっちゃったとか?

今の電話だって、浮気相手からの電話だから出たがらなかったのかも…

考えれば考えるほど、想像は悪い方に向かってく。
お、落ち着こう。これ何ですかって聞けば済むんだから!!

俺は一旦カタログをテーブルの下に隠して東郷先輩が戻るのを待った。

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