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もうちょっとメイクビリーブ
裏メイクビリーブ
「中谷!!」

やっと見つけた愛しい恋人は、屋上の隅でうずくまっていた。
どれだけ心配かけたら気が済むんだ?こいつは…

「中谷、何があったんだ?こっち向けよ…」

息を整えながらチカラの顔を覗き込むと、なんとチカラが嗚咽をもらしはじめた。

「な、中谷!!どうしたんだよ……あいつに何かされたのか?泣くなよ、中谷…」

俺はどうもチカラの涙に弱い。泣き止んでほしいのに、泣き止ませ方がわからない。
くそ、あいつのせいだったら再起不能にしてやる…

「お、れっ……最低な、男だっ…」

「は?」

「俺、なんも知らない……でっ……傷つけてた…」

何、言ってんだ?
傷つけてた?なんのこと言ってんだ?
やっぱさっきの奴がなんか関係してんのか?

「中谷……ちゃんと、説明しろよ…」

「やだっ……も、ほっといて…」

……可愛いから怒れねぇ…
仕方なく黙ってチカラの震える体を抱きすくめると、チカラが俺の背中に手を回してきた。

「泣くなよ、中谷……俺がいるから」

チカラの頭を撫でながら必死で慰める。するとチカラが俺の腕の中でボソボソと喋り始めた。

「東郷、先輩…」

「どうした?」

「昨日……っていうかここ最近いつも、冷たい態度とってすみませんでした…」

こいつ…

チカラの冷たい態度には今まで気付かないフリしてきたけど、自覚あったのか?

「急になんだよ?」

「……俺、東郷先輩に愛されてること……もっと幸せに思わなくちゃいけないんだなって……思って」

東郷先輩のこと好きな人、たくさんいるのに…

そう言われてようやく、さっきの出来事と繋がった。

『好きです』

確かにそう言ってたな…
そいつに罪悪感でも感じてんのか?

「バカかお前は……俺が好きなのはお前なんだから、他人のことは関係ねぇよ」

大体、そんなこと言いだしたらキリねぇことくらいわかるだろ…

「……中谷、変なこと考えんな。お前の態度だって、お前が俺に愛されることに慣れてきたと思えば嬉しくて仕方ねぇよ。それでいいだろ?」

そう言うとチカラは小さく頷いた。

チカラ。お前はどうしようもない鈍感だけど、その割に優しすぎるんだ。

「……でも、ちょっとずつ、態度は、改めます…」

涙をこらえながら言うチカラ。
ほら、やっぱり優しい…
こいつだって、いつ他人にとられるかわからない。だけど、そんなこと絶対にさせてやるもんか。

お前は、俺のもんだ。チカラ…

「……中谷、キスしてもいいか?」

チカラの目をじっと見つめてそう囁く。
チカラは少し目を泳がせて、小さく答えた。

「……嫌、です」

「……は?」

「やっぱり……学校でそういうことしようとするところは、嫌…」

……こいつ、全然態度改める気なんてないだろ。
まぁいいか…

「じゃあ……今日中に一回は絶対するからな」

俺だって、こんなチカラを愛することにもう慣れてきたんだ。

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