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もうちょっとメイクビリーブ
甘ったるい2人の場合(U)
毎年恒例の家族旅行は、とても楽しかった。
こういう時だけ『古き良き日本の家庭』ってうちのことなんじゃないかって思うね。

それに旅行ってなんか好き。非現実的っていうか、いつもの生活から離れる感じが良い。

『ふざけんな。なにがなんでも来い』

……わかってるよ!!

旅行の余韻に浸る間もなく、向かうは東郷先輩の家。眠いのに…
なんかよく知らないけど、連休は当然俺と過ごすつもりでいたらしい。

ピンポーン…

東郷先輩の部屋のインターホンを押す。
すると数秒で玄関のドアが開いた。
……待ち構えてたのか……?

「えっと……ただいま」

「お帰り……新婚ごっこか?これ」

「違います!!旅行から帰ってきたって意味のただいまです!!」

なんでこんなこと説明しなくちゃいけないんだ!!

すると東郷先輩はいつものクールな表情で「いいから早く入れ」と俺を促す。

呆れながらも早速靴を脱ぐと、東郷先輩が後ろで鍵を閉めた。
俺はリビングに入ろうと歩きだした……とたんに、後ろから抱きすくめられた。

「とっ……うごうせんぱい!?」

「……会いたかった…」

耳元で囁かれて、体が熱くなる。
来て数十秒でこんな展開になるなんて…

「あの……あ、お土産とか」

「そんなん後で良いから……中谷…」

東郷先輩は手を俺の服の中にするりと滑り込ませる。急に腹を撫でられて思わず「ひゃあっ…」と声が出た。

「やだ、東郷先輩っ…」

「……なんで?」

なんでって…
「俺……まだ旅行の話とかしてないし…」

東郷先輩のため息が頭にかかった。
でも、だって、今日はお土産を渡して、お互いどんなゴールデンウィークだったか話す……みたいなつもりだったのに。

東郷先輩は俺の腹を撫で続ける。
「俺と離れてる間にお前が何を楽しんだかなんて……聞きたくねぇよ」

……や、やばい。心臓の音伝わっちゃうよ。

「あの……離して、ください」

焦って東郷先輩の手を引き離す。振り返って見ると、東郷先輩は鬼の形相で俺を睨んでいた。
こ……怖いって!!

「……お前は」

「な……んです……か?」

「……寂しくなかったんだな…」

……は?

東郷先輩は俺を追い越してリビングに入った。
なんか……怒ってる?

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あきゅろす。
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