もうちょっとメイクビリーブ
☆
最低な日だ。
「お願いがあります!!東郷先輩!!」
「何だよ中谷……お前の頼み事を俺が断るわけねぇだろ?」
「来てもらって早々申し訳ないんですけど……帰ってくれませんか?」
最近思うのだけど、チカラは俺のことを何だと思ってるんだろうか。
とことん俺に怯えるくせに、最近なんとなく俺の扱いはひどくなってる気がする。
「……理由は?」
「あーなんかちょっと、従兄弟が来るみたいなんで」
……最近思うのだけど、チカラは逆に何と比べたら俺を優先してくれるんだろうか。
俺より転校生、俺より家族、しまいには俺より従兄弟…
知るかお前の従兄弟なんて!!
「……俺まだ、チカラとなんもしてねぇよ?」
そう言ってチカラをベッドに押し倒す。チカラは慌てて「今日は無理です」とか「そろそろ来ちゃう」とか喚いた。
「わかった、中谷」
「ほ、本当ですかっ?」
「俺が1回イったら帰ってやるよ」
予想通りだけど、チカラは「はぁ?」とすっとんきょうな声をあげた。
「なぁ、中谷……何でイかしてくれんの?口?それともケツ?」
『なんとなく俺の扱いはひどくなってる気がする』
そんなことを考えていたからか、自然と卑猥な言葉が出てきた。
チカラは顔を赤くして「な、何を…」と呟く。
「ほら、早く……お前でイきてぇんだ、中谷…」
思ったままを口にするとチカラは一層顔を赤くする。
もうちょっと。
もうちょっと押せば、チカラの体が手に入る…
「……な、かたに…」
「や、もう……先輩…」
ゆっくりとチカラの首すじに吸い付くと、チカラの肩がピクリと跳ねる。
「あ……ダメ……だってば……も、やだっ…」
喜んでるくせに……素直じゃねぇ奴。
真っ白なチカラの首すじに増えていく赤い痕。
お前が俺のものだって証拠だ…
「中谷……いいだろ?1回だけ…」
「う……ん、1回……だけ……?」
俺は優しく頷いてチカラの頬を撫でる。
「……好きだ、チ…」
「チカ兄ちゃんをイジめるなー!!」
急にドアが開いて、叫び声が聞こえた。
慌てて振り返ると……小さな子供が、戦隊もののお面をつけて立っていた。
「紅葉!!」
中谷がそいつを見て叫ぶ。モミジ……?
こいつが、チカラの従兄弟か?
「チカ兄をイジめる奴は俺がやっつけてやる!!」
イジめる……?俺のことか?
確かに押し倒してるけど。
……俺は、こんなガキの為に帰らなくちゃいけないのか?
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