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もうちょっとメイクビリーブ

「ん……?」
気が付いたら、ベッドの上にいた。前にもあったな、この感じ…
「中谷、大丈夫か?」

声の方に顔を向けると、しっかり服を着た東郷先輩が座っていた。

「……あれ?俺いつの間に?」

俺が力尽きてる間に、東郷先輩が俺をベッドまで運んだのか?
まさか。そこまでされたら俺、起きるって。

「中谷は知らねぇだろうけど……結構何されても起きねぇぞ、お前」

東郷先輩が意味ありげに言う。
よくわかんないけど、そうだったんだ…

「そんなことより、服着ろ」

「えっ!?」
毛布を被ってたから気付かなかったけど、俺はまだ全裸らしい。
慌てふためく俺に、東郷先輩が俺の服を渡してくれた。

「……あ、えっと、乾かしてくれたんですか?」

びしょ濡れだった俺の服は乾いて綺麗に畳まれている。
東郷先輩は当然のように頷いた。

「ありがとうございます…」

俺はなるべく東郷先輩に見られないように服を着る。
東郷先輩は「今さら恥も何もねぇだろ…」と呆れていた。
いや、そうなんだけど…

服を着終えて東郷先輩に時刻を尋ねると、いつの間に夕方になっていた。

そろそろ帰らなくちゃ…

「あの、長いことお邪魔しました」

そう言った途端、東郷先輩に睨まれる。
だ、ダメなのか……?

「……雨、まだ降ってるぞ」

そうなんだ……でも、だからなんだよ。
と思いつつも、せっかく服を乾かしてもらったのにまた雨の中帰るのはなんだか申し訳ない。

どうしようか悩んでいると、東郷先輩が「止んだら帰れ」と言ったのでそうすることにした。

ベッドにもたれてじっとしていると、再び眠気が襲ってきた。

「……雨の日って、憂鬱ですよね…」
欠伸をこらえながら言うと、東郷先輩はふっと笑った。
「いつもなら、そうかもな……今日は、特別だ」

「なんで今日は特別なんですか?」
言った後で『もしかして俺が来たから?』と考えた。ちょっと自意識過剰かな…

「……さすがにそれは、言わなくてもわかんだろ…」

そう言って東郷先輩は俺の頭を撫でる。
い、言ってくれたっていいのに…

「雨……早く……止むと、いいですね…」
自分が再び眠りに落ちていくのがわかった。わかったけれど、止められない。
東郷先輩、ちゃんと雨止んだら起こしてくれんのかな……?

そう思って先輩を見ると、東郷先輩は最高にかっこいい笑顔で俺を見つめていた。

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