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もうちょっとメイクビリーブ
リュウ
何してんだ、俺は…

冷静さを取り戻して、もう一度部屋に入る。
チカラは手錠でベッドに繋がれたまま体勢を変えて座っていた。

可愛い…

「……せんぱい…」

チカラの顔を見ると、目に涙を溜めて今にもこぼしそうだった。

「……泣くな。外してやるから」

ベッドの下の鍵を手に取ると、チカラはまだ無言で首を振った。
手錠がイヤで泣いてたんじゃねぇのか?

「外してほしくないのか?」

「だって、まだ謝ってないし……先輩まだ怒ってるし…」

「……怒ってねぇよ」

「怒ってますっ」

「なんでお前が言い切るんだ…」

「だって……キスしてくれなかったし」

「……か…」

可愛いことを言うなよ…
なんだか気が抜けてきた。

「怒ってねぇけど……まぁ、すげぇムカついた。相手の男、ぶち殺してやろうかと思った」

俺の言葉にチカラは下を向いた。

「ごめんなさい…」

「怒ってねぇっつってんだろ怒るぞ」

「じゃあ、それに対してもごめんなさい…」

「……埓あかねぇな」

「俺、東郷先輩の誕生日プレゼント、何にすればいいかわからなくて……ごめんなさい…」

もはや何に謝ってんのかわかんねぇ…
けど、俺のプレゼントを買うためにあそこにいたんだろうか。

「何もいらねぇって、言っただろ?」

「そうだけど……何かあげたかったから」

顔を上げたチカラはやっぱり涙を流していた。
こうなると嫉妬や怒りを感じてる場合じゃない。

「中谷……泣くなよ。怒ってねぇから」

「だって……俺が、そういう奴だと思わなかったって……言ったもん…」

「あー、悪かった」

結局、俺が謝るのか…
手錠をかけたままのチカラの代わりに涙をぬぐってやった。
チカラはじっと俺を見つめる。

「どうした?」

「……キス、してください」

ため息が出る。
どんな仕打ちをうけても、俺はコイツのこと嫌いにはなれないんじゃねぇか?

そんなことを思いながら、チカラの顎を持ち上げて引き寄せた。


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