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もうちょっとメイクビリーブ
リュウ
「ねぇリュウくん、手錠欲しくない?」

「は?」

いきなり家に来て何を言い出すかと思えば…
玄関に立っている昴は、その手に偽物の手錠を持っていた。

「昨日恋人にもらったんだよね。でも俺は使わないし……ほら、中谷とのプレイにどう?」

手錠をプレゼントって、どんな恋人だ…

「いらねぇよ」

「あれ、手錠かけたい願望はなかった?」

「お前と違って俺は変態じゃねぇ」

「……俺はそう思わないけど……まぁいいや、どっちにしろあげる。ほら、リュウもうすぐ誕生日じゃん」

昴が手錠をムリヤリ俺に握らせる。ご丁寧に鍵までついていた。

「思い出したら使ってよ。じゃあね」

用件が済むと昴はすぐに帰っていった。
俺の手には手錠とその鍵。
どうしろっていうんだ、こんなもん…

「東郷先輩……?」

「……中谷」

背後からチカラの声がして、俺は咄嗟に手錠をポケットにしまった。

「お客さん、黒坂先輩だったんですね」

「まぁな……聞いてたのか?」

「いいえ!あ、でも少しだけ……先輩、もうすぐ誕生日なんですか?」

チカラが俺に興味を示している。
これだけで嬉しくなる自分が情けない。

「東郷先輩も誕生日とかあるんですね…」

「お前、俺をなんだと思ってるんだよ」

「それで、何日なんですか?」

「15日」

「俺、お祝いします!何か欲しい物とかありますか?」

「……別に、なんもいらねぇよ」

チカラは不満そうな顔をした。
お前のその気持ちだけで、俺がどんなに嬉しいかわかんねぇんだろうか。

「それより、宿題まだあるんだろ」

「あ、はいっ!よろしくお願いしますっ」

チカラが部屋に戻っていく。
それを追う前に、寝室に入ってもらった手錠をそのへんに置いた。


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あきゅろす。
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