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もうちょっとメイクビリーブ
東郷リュウの独白
「ん……あ…」

誰も聞いたことがない、チカラの声。
チカラでさえも知らなかった、チカラの表情。

全部、俺のもんだ。

「せ……んぱっ…」

チカラのすがるような目が、すげぇ愛しい。

「中谷……大丈夫だから。俺に、任せろ…」
……俺も、男とすんのは初めてだけど…

チカラの硬くなったモノから溢れている汁を指でたっぷりすくいとる。

ここまでは、一度したことがある。
問題はこの先だ。
俺はすげぇ楽しみで仕方ないけど、チカラはどうなんだ…

チカラの頭を撫でながら、その穴に濡れた指で触れてみる。
「……ぅあっ…」
不安げにチカラが呻く。そんなんで、よく『ジャンケンで決めましょう』なんて言えたな…

少しずつ指をうずめていくと、チカラはまた可愛い声で呻きだした。

「中谷…」
本当は下の名前で呼びたいけれど、さっきチカラに『中谷でいいですよ』と言われてしまった手前それができない。

チカラはいつもそうだ。
なんの気なしに言った言葉で、俺を一喜一憂させる。出会ってから俺は、チカラの無防備な言動に振り回されてばかりだった気がする。

「う、うぅ……東郷、せんぱ…」
でも、これからは本物の恋人同士。俺がチカラを守ってやるんだ。
特にこんな時くらいは、全ての主導権を握らせてほしい。

「中谷……大丈夫だから。すぐに気持ちよくなるから…」

チカラは怯えたまま頷く。
俺は少しずつゆっくり2本目の指を挿入した。



しばらくチカラが感じてくれる場所を探りながら指を動かす。
チカラの声もだんだん高くなってきた気がするけど…
これで良いのかはわかんねぇ。
大体、相手の反応を窺いながらセックスなんてしたことないんだ。

「……中谷?」
突然、チカラが俺が着ていた制服のシャツを掴んだ。
痛いのか?気持ちいいのか?そんな仕草だけじゃわからない。
今さらやめたくなったとか言われたらどうすりゃいいんだ…

チカラは俺の目をしっかり見つめる。かと思えばすぐに逸らして、また俺の目を不安げに見つめた。
繰り返されるその動きを可愛いなーと見守っていると、チカラが消え入りそうなか細い声で呟いた。

「……もっと…」

「……な、かたに…」

チカラはすぐにそっぽを向いて、何事もなかったような顔をしている。

どうすりゃいいんだ。
どうすりゃいいんだ?
俺はいつかこいつに殺される。
こいつから主導権を奪えることなんて一生ありえなくて、俺はこのままずっと振り回されるんだ。

チカラ、好きだ。

やっぱり今日、この言葉が言えて良かった。
これからたくさん、チカラのこんな言葉が聞ける。こんな表情が見られる。

「チカラ……そんなに欲しいなら、もういれてやるよ」





この時の俺は、まだ知らない。
『これからたくさん』なんてただの願望にすぎないことを。
この行為の後、腰に激痛を負ったチカラに、俺は長い間お預けをくらうことになるんだ。

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あきゅろす。
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