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もうちょっとメイクビリーブ
再び中谷チカラの章
ベッドに入ると東郷先輩がポツリと呟いた。

「中谷……俺と一緒に暮らさねぇか?」

「………………にゃ?」

「今すぐじゃねぇよ。でも、将来…」

東郷先輩はどうやら本気で言ってるらしい…
なんせ目が真剣だ。

「こんな風に、お前と暮らせていけたら……俺は何もいらねぇから」

き…
急にそんなこと言われても、困る!
なんて返事すれば良いのか悩んでいると、東郷先輩は呆れたように笑ってみせた。

「……まぁ、どうせお前はイヤだろうけどな」

「にゃあっ?」

「わかってるよ。もう寝ろ」

東郷先輩は俺の体を抱きしめたかと思うとそのまま寝てしまった。
どうしよう……別にイヤじゃなかったのに。

そうだよ。東郷先輩と一緒に暮らす想像をしても、全然イヤじゃない。
“いつか”で良いなら、俺は別に…

あぁ、今すごく東郷先輩にキスしたい。でもキスしたら戻れなくなっちゃうし…

こういう気持ちだけでも、東郷先輩に伝わったらいいのにな…

******

「……中谷」

「ん?」

いつの間に眠ってしまったらしい。
気がつくと朝だった。

「にゃあ、にゃ……?」

「朝から可愛いな……朝メシ買ってくるから、待ってろよ」

寝ぼけたまま頷く。
東郷先輩が部屋を出ていくのを見送った。

昨日の話は、もう無かったことになってるのかな……?
もう一回言ってくれれば返事するのに。

そんなことを考えながら、またウトウトしてしまった。

「う、にゃ…」

東郷先輩、遅い…
30分くらい寝てたのにまだ帰ってないなんて。

他に用事でもあったのかな?と思って顔を洗ったり歯を磨いたりしながらもう30分待ってみた。
それでも東郷先輩は帰ってこない。

喋れないのをわかってて電話してみたけど、いくら待ってても出なかった。

なんかあったのかな……?
迎えに行きたいけど、この姿じゃ外にも出られない。
やっぱり俺は、東郷先輩のために何もできないのかな…

そんなの……イヤだ!

東郷先輩の部屋を廻って帽子を探したけど、持ってないみたいだ。
仕方ないから大きいフードのついた上着を見つけて勝手に借りた。
これで猫耳は見えないよな?
しっぽはズボンに押し込めば隠せるし。

「……にゃあ…」

東郷先輩のことを想うだけで、胸が痛い。こんなに不安になるなんて思わなかった…

探しに行こう!
会いたいもん。今すぐ、会いに行こう…

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