もうちょっとメイクビリーブ
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「東郷先輩……学校戻らなくて良いんですか?」
東郷先輩は俺のメールを見て授業を抜けてきたらしい。
だけど先輩は俺の頭を撫でたまま「学校なんてどうでもいい」と言ってくれた。
「じゃあ……親が帰ってくるまで、いてくださいね」
東郷先輩はまた「か…」と呟いて、撫でる手を止めた。
「東郷先輩?やめないで…」
「な、かたに……キスしていいか?一回だけ…」
キス?せっかく看病してくれたんだし、一回くらいならいいか。
でも…
「激しく、しないで下さい…」
あれは体力削られるからな…
「我慢する…」
そう言って東郷先輩は俺に唇を重ねてきた。舌をねっとりと舐められたけど、それ以上激しくは動かしてこなかった。
しばらくして唇が離れる。俺の顔を見ると東郷先輩は小さく
「生き地獄だ…」
と呟いて立ち上がった。
どこへ行くのか尋ねると、『便所』と返されたので、俺は見送るしかなかった。
東郷先輩が戻って1時間くらい話をしていると、俺の携帯にメールが来た。母さんからで、もうすぐ帰るとのこと。
仕事、ちょっと早めに切り上げてくれたんだな…
東郷先輩はすごく心配そうな顔をしたけど、渋々帰り支度を始めた。
「今日は、ありがとうございました…」
「別に…」
「あの……なんかすみません、こういう時だけ頼って…」
なんか、都合の良い男だよな俺。
もっとしっかりしなくちゃ…
「……本当だな。こういう時じゃなくても、もっと俺を頼れ」
は?
……そっちの意味じゃなかったんだけど……まぁ、いいか。
東郷先輩はうちを出ていった後、俺は改めて思った。
東郷先輩の優しさに、今日はちゃんと返せた気がする。明日からは先輩の存在に感謝して、もっと素直に接しよう…
「転校生も同時に風邪ひいてたのか!?てめぇそいつと二人でやましいことしたんじゃっ…」
「だからそうやってすぐ勘違いするのやめてください!!」
「ふざけんな!!確かめるから今すぐ脱げ」
「バカかアンタは!?」
まぁ、そんなのはとうてい無理な話で…
これが俺たちの日常。
たまに甘ければ、それでいいだろ?
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