[携帯モード] [URL送信]

もうちょっとメイクビリーブ
中谷チカラの章
ダメだ……頭が混乱してる。
テストの結果が良くなかったくらいで猫になりたいとか言ったから、本当に猫に…

こんなファンタジーなこと本当にあるんだなぁ。
……ていうか俺、一生このまま!?
そんなのイヤだ…

「うっ……ふぇ…」

胸がずきずき痛んで、涙がこぼれてきた。
すると、横で何かが動く気配。

「ん……チカラ?」

東郷先輩、起きたんだ…
俺の姿見たら、なんて言うかな?心配してくれるかな。いや、笑うか…

「チカラ……泣いてんのか……泣き止め。チカラ…」

……ダメだこの人寝ぼけてる!!
そういえば、東郷先輩のサボり癖の秘密。寝起き悪いってこと忘れてた…

「東郷先輩……ちょっと緊急事態なので…」

「んん…」

東郷先輩は寝ぼけてるくせにがっしり俺の体を掴んでる。身動きがとれないじゃないか……!!

「東郷先輩!!もう……にゃあ!!」

……は!?
なんだ『にゃあ』って!!
自分から出たとは思えない言葉に、驚きを隠せない。
えっと、『やだ』ってどう発音するんだっけ…

おそるおそる口を開くと、次はちゃんと「やだ」と言えた。
び、びっくりした…

「チカラ……猫になっちゃったのか?」

見ると東郷先輩が薄目で俺を見てる。
さすがに目を覚ましてくれ!!

「違います、今のは…」

「でも、耳が付いてるぞ……しっぽも」

「にゃ!?」

東郷先輩に抱き締められたまま、なんとか顔を回してみると確かにズボンからふわふわのしっぽが飛び出してる。こんなのさっきまで無かったのに…

「チカラ……可愛い。猫耳で俺を誘惑するなんて、反則だ…」

「誘惑なんてしてにゃいです!!」

東郷先輩が俺を『チカラ』って呼んでるうちはまだ寝ぼけてる。どうにかして離してほしいのに、何が『誘惑』だ……!!

「チカラ……猫なんかよりお前の方が可愛い。たっぷり可愛がってやる…」

「にゃ……にゃあ!!」

「なんだよ……そういうプレイが良いのか?」

違う!!
でもさっきから、興奮すると発音の仕方がわからなくなって、自然と猫の鳴き声になっちゃうんだ。

「東郷先輩……心配してくれないんですか?」

「可愛い。チカラ、すげぇ可愛い…」

「だっ……うにゃあああ!!」

もっと意味のあることを叫んだつもりなのに、また猫の鳴き声が出てきてしまった。
そして、その大声で東郷先輩がやっと目を覚ました。

「……中谷!?どうした?」

「遅いんだよっ!」

[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!