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もうちょっとメイクビリーブ
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目が覚めると、東郷先輩の声がした。

「中谷、大丈夫か?」

夏樹への返信を送った後、東郷先輩が戻ってくる前に数十分眠ってしまったらしい。頭の痛みがひどくなった気がする…

「あ、メシあるぞ。胃の中空っぽだと薬飲めねぇだろ」

見ると、テーブルの上には小さな土鍋。手を伸ばして蓋を開けると、お粥が入っていた。
そういえば料理できるんだっけ。
人んちの台所でお粥が作れるなんて、やっぱり東郷先輩すごいな…

俺が上半身を起こすと東郷先輩は「食べさせてやろうか?」と少しからかうように言った。

……うん。それも良いかも。
俺が頷くと東郷先輩は目を丸くした。
自分で言ったくせに…

東郷先輩はスプーンを手に取り一口分お粥をすくった。何回か息を吹きかけて冷ますと、俺の口の傍に持ってくる。

俺は小さく口を開けて、東郷先輩が作ったお粥を口にいれた。

「……エロ…」

東郷先輩はそう言って俺の口からスプーンを抜く。
……美味しい。俺、東郷先輩が恋人で本当に良かったな…



何回かそれを繰り返し、お粥は完食。薬を飲むと、だいぶ頭痛もおちついてきた。
それを聞くと、東郷先輩は安心したようにため息をついた。

「あんま、無理すんなよ…」

俺はまた横になって、東郷先輩の方に体を向けた。

……あ。
あれ、やんないのかなー…
東郷先輩がいっつもやるやつ。
今日に限って、一度もやってくれない…
普段はムカつくけど、やってほしくもなるんだな…

「中谷?」

俺は東郷先輩の手をとって、自分の頭に導いた。

「撫でて……ほしい、です」

そう言うと、東郷先輩は呆れたように笑って俺の頭を撫でてくれた。

「なんだお前は……俺を殺したいのか?」

はぁ?そんなわけないだろう…

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あきゅろす。
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