もうちょっとメイクビリーブ
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「じゃあ、俺たちは部屋に戻るね。遊びに行ったりは一切しないから安心して」
「チカラさん、東郷先輩、おやすみなさい!」
「えっ、いや、夏樹っ…」
夕食後、当然のように俺と夏樹くんは隣の部屋に戻った。あとは二人でお楽しみいただくだけ。
良いことしたあとは気持ちがいいよね!
「夏樹くん、お風呂入る?」
「黒坂先輩お先にどうぞっ」
「いや俺あとでいいけど……一緒に入ろっか?」
いつもの調子で、あくまで冗談混じりに言うと夏樹くんがニコッと笑った。
「いいんですか?お願いします!」
……えぇー。
マジで言ってんのかな?この子は。
危機感ってものがないなぁ。
「……じゃあ、入ろっか」
ここにきて「冗談」とも言えずに快諾した。夏樹くんが本当に脱ぎ始めたから俺も服を脱ぐ。
正直一緒に風呂入ったくらいで変な気を起こすほど飢えてないし、夏樹くんもそういうタイプじゃないから大丈夫だろうと腹をくくっていた。
「さっみぃ!ちょっと何この寒さ」
「うわぁーホント寒いですねー!」
一旦外に出て急いで湯に浸かる。
夏樹くんは俺の正面に体育座りした。
さすがというかなんというか、綺麗な体してるよなぁ…
そして見かけによらず良いもの持ってる。
「チカラさんたちは、もうお風呂入ったんでしょうか?」
「さぁーどうだろうねー?」
もしかしたら「一緒に入るなんて嫌だ」とか言われてたりして…
こっちは恋人でもないのに一緒に入ってる。不思議な話だ。
「これで夜、なんもなかったとか言われたらお兄さん泣いちゃうかも。どうしよう」
「だ、大丈夫ですよ!お二人はラブラブカップルですから!」
「リュウくんはラブラブだけど、中谷がね……セックス苦手っぽいし」
「そうですか……やっぱり、男の人とするのは恥ずかしいものなのでしょうか?」
夏樹くんが真っ直ぐな目で俺を見る。
なんか変な感じだなぁ…
「うーん……人によると思うけど。夏樹くんも一回試してみたらわかるかもね」
そう答えると夏樹くんはこれどもかってくらい目を輝かせた。
そして、ちょっと俺に体を近づけた。
「じゃあ、試してみたいです!」
「えっ……え、何?俺と?」
やっと夏樹くんが少し照れたかと思うと、小さく頷く。
何を言ってるんだこの子は…
「俺たちみたいなのに囲まれて頭おかしくなった?そういうのは女の子とするのが普通だよ。そんな、遊び半分で言うことじゃないって」
「……そんな、冗談で言ったわけではないのですが…」
え、どうしよう。本気かー。
この子知識とか足りなさそうだし……いや案外良いもの持ってるけど……親友の恋人の親友だし…
困った。
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