もうちょっとメイクビリーブ
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冬といえばおでん。おでんといえば冬。
ということで、部屋で一人コンビニのおでんを食べていたら来客があった。
「あれ、リュウくん」
「なに食ってんの?お前」
親友の用事は先週行われた温泉旅行の代金だった。
中谷も夏樹くんもみんな「払う」って言ってくれて、なんだか良い友達を持ったもんだなー。
「誰か来てたのか?」
突然の言葉に顔をあげると、リュウの視線の先にはベッドの上に置かれたマフラーがあった。
「え、あぁ……いや、別に」
なんとも意味のわかんない返事をしたんだけど、リュウはどうでもいいと思ったのか何も返さなかった。
「……リュウ、中谷と上手くいってる?」
「急になんだよ」
「いや、そうそうなことではケンカしない仲かな?って」
そう言うとリュウの目がちょっと見開いた。
「……昴、お前もしかして…」
「そういうんじゃないけど!いや、でも……仕方ないんだよ」
リュウは俺の言い分にため息をついて呟いた。
「……別にいいんじゃねぇの。お前の勝手にすれば」
そう言って立ち上がると、部屋を出る前にもう一度マフラーを見た。
「チカラには黙っといてやるよ」
リュウを目で見送って天井を仰ぐ。
こんなつもりじゃなかったんだけどなぁ…
ベッドの上に置き去りにされた、夏樹くんのマフラーを見てそんなことを思った。
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『秘密メイクビリーブ 301』
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すべての始まりは先週の温泉旅行だった。
「夏樹くん、おかえり。おみやげ見てきたの?」
「はい!家族に買っちゃいましたー」
あの日、旅館に着いてそうそう中谷は夏樹くんを連れて部屋を出ていってしまった。
相当リュウと一緒にいたくないんだろう、あんなに冷たくされてリュウくんもよくしょげないものだ。
「東郷先輩は…」
「隣の部屋でふて寝してるよ」
「お、怒ってましたか?ケンカにならないでしょうか…」
「うーん大丈夫じゃない?」
っていうか、大丈夫じゃないと困る。
リュウくんと中谷が最近ラブラブしてないんじゃないかって計画したこの旅行。
中谷が温泉好きだって教えてくれたのは夏樹くんだ。
「まぁ夜になっちゃえばこっちのもんだよね」
「そうですねっ!」
いわば、俺と夏樹くんは仕掛人。主役はリュウと中谷だ。
そう思っていたのは、この時までだったけど。
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