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ショート*ストーリー
..
その週末のことだった。
遊びの予定も入らなくて、家で暇潰ししているとインターホンが鳴る。

『あ、上原ノゾミですけど…』
インターホン越しに聞こえたのはノゾミくんの声。
兄貴なら、朝から出掛けてていないんだけどなぁ…
なんて思いつつとりあえず玄関に出てみると、ノゾミくんが不安そうな顔で立っていた。

「どうしたの?ノゾミくん」

「……紺は、いないかな?」

「朝、出掛けてったけどノゾミくん家じゃなかったんだ?」

やっぱり我が兄貴はノゾミくんを避けてるらしい。いいけど、俺を巻き込まないでよ…

「こういう時、大変だよねー。兄貴が携帯持ってないと」

「あぁ……そうだね。朔くん、ちょっとだけ中で紺を待たせてもらってもいい?」

意外だ。ノゾミくんがこんなことを言うなんて。相当ケンカしてんだな。

ノゾミくんを上がらせて、「なんでケンカしたの?」って聞いてみたけどノゾミくんは無言。
そんなに深刻?
一緒にいるのも気まずいから俺は自室にこもることにした。

「イノリなら知ってんのかなぁ……?」

いや、知らないだろうな。イノリとノゾミくんめっちゃ仲悪いし。それはさすがの俺でも最近わかってきた。

「朔くん、ちょっと入ってもいい?」

扉の向こうからノゾミくんの声がした。
どうしたのかな?紺のことで相談されたらどうしよう。俺、兄貴の気持ちとかわかんないよー…

「何?ノゾミくん」
扉を開けてノゾミくんを招き入れる。
ベッドに腰かけるとノゾミくんも隣に座った。
「俺、紺に避けられてるみたいなんだけど……何か聞いてない?」

来た。やっぱりか!!
そんなの知るわけないじゃんねー。

「わかんないなー。俺、兄貴のこと理解できたことないし…」

「そっか…」

「なんも心当たりないの?」

「うん…」

ノゾミくんは落ち込んだ声でそう言うと…
なんと、俺を抱き締めてきた。

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