ショート*ストーリー ∞ 昨日は、まさか美央と会うことになるとは思わなかったな… ってあれ?美央はなんであのマンションにいたんだろ。友達が住んでるとか? まさか美央が住んでるとかではないよね。いやいや、まっさかぁ… 「湊!!ちょうど良かった、会いたかったの」 「……美央!?」 バイトから帰ると、また廊下で美央と鉢合わせた。 どうやら美央は俺たちと同じ階に越してきたらしい。……悪い予感ほど当たるなぁ。 美央は「訊きたいことがある」と言って勝手に歩きだす。立ち止まったのは、俺と玲の部屋の前だった。 「湊、やっぱり昨日の人と一緒に住んでるんだね。付き合ってるの?」 そう言って美央が表札を指差す。 なんなんだよこいつの執念は……!! 「美央、違うって……玲はただの友達。俺、今恋人いないし」 「でも湊ってホモ疑惑あったし……やっぱり男が好きだったんでしょ!?」 「違うっつってんじゃん……何回言わせんの?」 「嘘!!ねぇなんであたしと付き合ったの!?」 「好きだったからに決まってんだろ!!」 相変わらずプライドたっけぇ女… もう付き合ってらんねぇ!! 美央を無視して俺がドアを開けようとすると、急に手首を掴まれた。 「……何?美央」 「だったらあたしと付き合って」 「……はぁ?何言ってんの?」 「あたしのこと好きだったんでしょ?今、恋人いないんでしょ?だったら付き合って!!」 「……無理」 それでも喚く美央からどうにか逃れて部屋に入る。 何を言いだすんだあいつは… 靴を脱ぐために下を向くと、上から拳が振り下ろされてきた。 「玄関先でギャーギャーうるせぇんだよ!!丸聞こえだったぞ!!」 「れ、玲……聞いてたの?」 そういえば玲は今日バイトないんだった… うぅ……玲たんにはあの会話聞かれたくなかったよぅ。 大体、美央があんな性格だから… ぶつぶつ美央の文句を言う俺に、玲はため息をついた。 「……お前、付き合えよ。あの子と」 「……れ……玲まで何言いだすの!?俺が好きなのは玲じゃん!!」 「だから、女に目を向ければいいだろ?あの子かわいいし、ちょうど良いんじゃねぇの」 「かわいいかぁ!?玲の好みと全然違うじゃん!!」 「お前は俺の好み知らねぇだろ」 「知ってるもん!!玲が隠し持ってるAVの系統からして…」 「いっぺん死ね!!」 玲の蹴りが俺の腹に直撃する。 な……なんで大好きな玲に、「女に目を向けろ」なんて言われなくちゃいけないの? 俺にはもう、玲しかいないのに… [*前へ][次へ#] [戻る] |