ショート*ストーリー
∞
翌日。ルンルン気分で1限の教室に入ると、見覚えのある茶髪があった。
俺は思い切りそいつの背中を叩く。
「あーかーさーかっ!!」
「いって……お、湊」
「今日の俺、なんかいつもと違うよね?」
「うーん……髪切ったとか?」
「ハズレー」
「背が伸びた?」
「ハズレー」
「視力が回復した?」
「ハズレー……っていうかわざとだよね!?赤坂も本当は薄々感づいてるでしょ!!」
「はいはい、玲絡みだろ。どうしたんだ?」
こちら、俺と玲の共通の友人である赤坂くん。
玲と結婚式を挙げる時には絶対仲人として招待しようと決めてる、善き相談相手。
早速赤坂に昨日の出来事を説明すると、赤坂もすごく喜んでくれた。
「頑張ってみるもんだなぁ。もう2人が付き合うまで秒読みかもな」
「でしょ!?俺もう昨日は嬉しくて、玲で何回抜いたことか!!」
「……うん、それは別に言わなくても良いんじゃないか?」
「だって、玲と二度目のセックスできる日も近いかもっ…」
「朝から大声で下ネタ語ってんじゃねーっ!!」
後頭部に痛みという名の快感。
振り返ると玲が鬼の形相で立っていた。
「れ、玲…」
真っ青になる俺をよそに、赤坂が冷静に玲に手を振った。
「おはよう玲。どうした?この授業とってないのに」
「おーこのバカ猿に用があってな」
そう言って俺を指差す玲。
猿……もう少し良い例えでも良いじゃんか。犬とか、猫とか…
「俺、今日バイトじゃなくなったから。晩飯早く作っとけよ」
「あ、うん……ていうか!!バイトないなら一緒に帰ろうよ!!」
「なんでお前なんかと……めんどくせぇ」
「えーお願い!!一緒に帰ってくれなきゃ死ぬ!!」
「あーすげぇ嬉しい。ぜひ死んでくれ」
……この素直じゃないところが好き!!
必死の懇願の末、結局玲と一緒に帰れることになった。幸せ……!!
「お前の幸せ小さいなぁ。好きな人と一緒に帰れるって喜んでるのは小学生かお前くらいだぞ」
呆れ笑いをする赤坂に、俺は満面の笑みで言い返す。
「なんで!?嬉しいじゃん!!俺は一日の中で一分でも一秒でも多く玲といたいもんっ」
「うわぁめんどくさいなぁ」
……赤坂に最近玲の毒舌が伝染してる気がするんだけど……気のせいかな?気のせいだよね!!
「でも女には喜ばれるタイプだよな。一途だし、よく尽くすし」
赤坂の言葉に少しドキッとした。いや俺、女の子と付き合ってた時はあんまり…
「……いやいや!!今を大事に生きようよ赤坂!!」
「どうした?いきなり」
とりあえず今日の放課後デートを楽しまなくちゃ!!
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