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ショート*ストーリー

待ちに待った日曜日。
絶好のサプライズ日和だ!!

ちょっと小さめのケーキを作って、冷蔵庫に入れた。
テーブルの上には、ラッピングされた小さな箱。

買っちゃったよ……給料はたいて買いましたとも!!
玲の欲しがってた限定盤のCD。
早く玲の喜ぶ顔が見たいな…

「ただいま」

玄関のドアが開いて、愛しい玲の声が聞こえた。

「玲っおかえり!!あのね、実は今日…」

『玲の誕生日なんだよ』
そう言い掛けた俺の口がぽかんと開いたまま止まる。
玲の手に小さな小包が握られていたからだ。
俺の視線に気付くと玲は俺にそれを見せた。

「これ、日比谷さんに貰ったんだ。俺、今日誕生日だったらしくてさ」

玲の嬉しそうな声。
日比谷……!!俺より先にプレゼント渡しやがったのか!!
つーかプレゼントってなんだよ!?
やっぱりあいつ玲を狙ってるのか!?ライバルってことでいいわけ!?
ムカつく……サプライズじゃなくなっちゃったじゃん!!

って、この時まではそれくらいの落ち込みだったんだけど、すぐに俺は奈落の底に突き落とされることになる。

「そうそう、お前とこの前話しただろ?雑誌に載ってたアルバム。あれを譲ってくれたんだ」

「……は?」

「忘れたのかよ?ほら、俺が高くて買えねーって言ってた…」

忘れるわけないじゃん!!
だって必死に探して、給料はたいて…

そんな!!

玲が開いた小包の中身は確かに俺が買った物と同じ物。
先に、日比谷にもらっちゃったんだ…
そうだよな。元々日比谷の雑誌に載ってたもんだし、玲がこれを欲しがってたことも日比谷が知らないわけない…

「……湊?」

「……なんでも、ない…」

渡せるわけないよ。
どうしよう、すごい悔しい。
玲を笑顔にするのは、俺のはずだったのに…

「湊、本当になんもねぇのか?」

玲が本気で心配してくれてるのがわかって、頭の中がぐちゃぐちゃになった。

「良いっ……別に、なんでもない……うぅっ…」

「な……なんで泣いてんだよ!?」

「れ、玲がぁっ……誕生日、で…」

「……俺が歳食うのがそんなに嫌か」

そうじゃないだろう…
玲にボケに回られると俺つっこみづらいから。

すると玲がテーブルの方に歩きだしたので俺は急いで自分のプレゼントを隠した。
玲は全く気付いてない。

ケーキも……いいか。
今さらケーキくらいじゃ喜んでくれないよ。日比谷からもっと良い物もらったんだから。
俺は玲が見ていない隙に冷蔵庫のケーキをゴミ箱に捨てた。
一生懸命作ったけど……玲に喜んでもらえなきゃ意味ないもんな。

俺は涙を拭いて夕飯を玲に出した。玲は「なんか今日豪華じゃねぇ?」と言ってくれたけど、俺は「偶然だよ」と返すしかなかった。

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あきゅろす。
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