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ショート*ストーリー

家に帰ると、玲はいつも通りリビングのテーブルで俺の作る夕飯を待っていた。
良かった……いなかったらどうしようかと思った。

「玲、今日は…」

「……あ?」

ふと玲の手元を見ると、日比谷から借りてた雑誌。
これ読んでまた、2人は共通の話題で盛り上がるんだろうな…
ビリビリに破いてやりたい。

俺が無言でいると、玲はまた雑誌に視線を落とした。

……あれっ?

今気付いたけど、玲ずっと同じページ見てる。なんか大きいCDジャケットが載ってるページ。
もしかして…

「玲、それ欲しいの?」

玲は俺を見ずに「別に」と答えた。
「これは限定盤で……なかなか売ってねーし、値段もたけーんだよ」

「でも欲しいんでしょ?」

「金があったらなー……つーか、早くメシ作れよ」

玲にギロリと睨まれて、俺は慌てて台所に駆け込んだ。
玲、あのCDの限定盤が欲しいんだ。歌手とアルバムの名前は覚えた。インターネットで探してみよっかな…

だって、これこそ絶好の誕生日プレゼントじゃん!!

今日はちょっと玲との距離が遠くなっちゃったけど、あれをプレゼントすれば玲もきっと俺のこと好きになる!!

『湊、ありがとう……俺、嬉しい…』
『玲の欲しい物なら、なんだって俺がやるから…』
『じゃあお礼に……俺の体をあげる…』

みたいなことになったりしてね!!
誕生日が付き合い始めた記念日とか素敵すぎるって!!
ロマンチックすぎる!!

俺は自分の発案と綺麗にひっくり返ったオムレツに自画自賛して頷いた。



「0が一つ多いって!!」

翌日。自室のパソコンを前に、俺は一人怒鳴り声をあげていた。
たかがCDのくせになんでこんな高いの!?
なんかいろいろ付いてるけど、本当に玲こんなのが欲しいの!?バカなの?いやバカじゃないし!!
俺の玲はバカじゃないし!!

「この金額……今月のバイト代無くなるな……でも玲の笑顔の為なら全く惜しくない自分が怖い!!」

「俺がなんだって?」

「れ、玲っ!?」

慌てて振り返るとドアの入り口に玲が立ってる。俺はそっとノートパソコンを閉じた。

「玲……なんか用?」

「俺の洗濯物足りねぇんだけど、お前持ってった?」

「洗濯物……どんな?」

「トランクス」

「え、ごめん!!今、探すから…」

「良いよ後で……あったら返せよ」

「うん!!ごめんね、別に玲の下着を盗んでやらしいことに使おうとしてたわけじゃ…」

「当たり前だっ!!」

い、痛い…

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あきゅろす。
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