ショート*ストーリー
☆
その時、教室のドアが開いた。
「赤坂ー、こんな奴と何話してんだ?」
「玲っ!!授業じゃなかったの?」
「休講になった」
……な、なんてラッキーなんだ……!!
早速俺は玲の誕生日に予約をいれることにした。
こういうイベントは進展させる絶好のチャンスだもんね!!
「玲っ来週の日曜空いてる?」
「バイト」
……えー!?
自分の誕生日にバイト入れるって何!?
バカなの!?いやバカじゃないし!!
俺の玲はバカじゃないし!!
「そ……その日のご飯何が良い?」
「はぁ?なんでそんな先の希望出さなきゃいけねーんだよ」
玲は怪訝な顔で俺を見つめた。
え……わかんないの?
玲、自分の誕生日忘れちゃったのかな。
「とっとにかく……その日は寄り道しないで帰ってきてね!!」
「寄り道はしねぇけど……なんでそんなこと聞くんだよ?」
「……ひ、秘密っ!!」
玲がそこまでド忘れしてるなら、いっそサプライズにしてあげなくちゃ!!
ケーキ焼いて、プレゼント渡して…
デートは諦めるしかないか。
俺もう2、3個デートプラン考えてたのに……結構ショック。
「玲、電話鳴ってるぞ?」
落ち込んでいると赤坂が玲に声をかけた。玲は携帯を取り出すと、赤坂に礼を言って玲は電話に出た。
「もしもし日比谷さん?今ですか?隣の教室ですけど……え、今から?」
……日比谷って誰?
知らない名前に胸がザワついた。
赤坂に目線で「知ってる?」と問い掛けると、赤坂は肩をすくめた。
「いや、俺が……あ、そうですか?じゃあ…」
玲は電話を切ると俺と赤坂の方を見た。
「悪い、今から先輩が来るけどいいか?」
「俺は良いよ〜」と赤坂。
「先輩って!?男!?どういう関係!?玲の何!?」
矢継ぎ早に尋ねると玲に頭をはたかれた。
「うるせぇっ!!バイト先の先輩だよ。経済の3年」
バイト先の先輩……?
何それ、バイト先も大学も玲と一緒なんて、ムカつく!!
玲に1番近い存在は、俺なのに…
「玲くん」
しょんぼりしていると、ドアを開けて教室に男が入ってきた。
結構背が高くて(俺の方が高いけど!!)、黒髪に黒ブチ眼鏡のオシャレ系。
こいつが日比谷か…
「日比谷さん!!わざわざすいません」
「いやいや、友達と一緒だったんだね。邪魔だった?」
「大丈夫ですよ。それより、雑誌ありがとうございます」
玲と日比谷の会話が続く。
ちょっと玲さん……仲良すぎるんじゃない!?
それにその態度……俺にはもっと冷たいじゃん。
玲の冷たい態度は愛情の裏返しっていうか流行りの言葉を使うと『ツンデレ』ってやつだから別にいいんだけど!!
でも……いくらなんでもさ…
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