ショート*ストーリー
_
「15分オーバー。死ね」
それが玲の第一声だった。
俺、電車降りてから全力で走ったんだけど……メロス級に頑張ったんだけど…
息を切らせて玲の家に上がる。
玲は何も言わなかったので、俺は早速台所へ向かった。
朝ご飯を作っている間も、何がなんだかわからなかった。とにかく、朝ご飯を出さなくちゃということしか考えられなかった。
数分でサンドイッチをテーブルに並べる。
玲はいつも通り無言で食べ始めた。
「玲、あの…」
「人が食ってる時に話しかけんな」
……沈黙。
仕方なく、俺はしばらく玲が食べ終えるのをじっと待っていた。
サンドイッチを全て食べ終えると、先に玲の方が口を開いた。
「……てめぇ、なんだよあの下ネタ満載の手紙は……読んだ瞬間に燃やしたぞ」
えぇっ!?
お、俺は真剣に書いたつもりだったんだけど…
「玲……俺を、許してくれない?」
そう尋ねると、玲は顔をしかめた。
「……まぁ……よく考えたら、酔っ払った俺も悪いし……お前のことだから、ムリヤリってわけでもねぇんだろうし…」
許してやるよ。
そう言われて、また涙が溢れてきた。
「玲……玲、大好き!!」
「あっそうかよ。俺は好きじゃねーよ」
「今はそれでいい!!また一緒に暮らせるならそれでいい!!」
「はぁ!?お前またうちに戻ってくんのかよ!?」
「えっダメ?」
俺は完全にそのつもりだったんだけど…
玲は呆れたように俺を見て、ため息をついた。
「いいけどよ……新しい同居人、探すのめんどくせぇし」
「あ……ありがとうございますっ!!」
「朝からうるせぇっ!!」
また玲に回し蹴りを食らわされる。
この痛みを、こんなに愛しく思う日が来るとは…
こうして、俺は玲の同居人の座を奪還することができた。
玲に許してもらえたし、告白もできたし、本当に幸せ!!
きっと玲もいつかは俺の気持ちに応えてくれるはず。
シラフの玲とセックスできる日もそう遠くないと思うんだよね!!
『今度は忘れないでね』なんて言ったら、玲は『忘れないように、もっと湊のおちんちんで俺の体めちゃくちゃにして?』なんて…
「勝手に気持ちわりぃ妄想してんじゃねーっ!!」
「いってええぇぇえ!!玲、いつの間に…」
「殺す。今すぐお前を殺す」
「……ご、ごめんなさい…」
*END*
[*前へ]
[戻る]
無料HPエムペ!