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ショート*ストーリー
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『玲だって俺のこと』なんていうのは、単なる俺の幻想でしかなかった。

「湊!!玲に追い出されたって、本当かよ?」

「赤坂……おはよう」

「やっぱりこの前のがバレて?」

「バレたっつーかバラしたっつーか……いきなり実家に戻ったから親パニくっちゃってさ。しかもやっぱ実家通い遠いわー…」

「湊!!……大丈夫か?」

大丈夫なわけない。
大好きでたまらなかった玲に嫌われて、これからどうやって生きていけばいいのかわからない。
でも、言わずにいられなかった…

「赤坂ぁ……俺、もう…」

赤坂は何も言わずに俺を撫でてくれた。
玲。玲が好きで、たまらないのに…



「玲も……勝手な奴だよなぁ」

「いや……玲は悪くないんだ。俺が、勘違いしてただけで…」

そうだよな……玲は俺のこと、なんとも思ってなかったんだな。
しかも今となっては、完全に嫌われて…

「湊……もう、諦めるのか?玲のこと」

「……諦めるしかないよ。嫌われたんだから…」

「そう言ったって……忘れられないだろ?」
忘れられないに決まってる。
だって、今でも、玲の顔を思い出すだけで……心臓が痛い。

「忘れる……どうにかして、忘れる」

思ってもないことを言ってみる。
赤坂はそれを聞いて、表情を変えた。

「じゃあ、俺と付き合う?」

……は?
何言ってんの赤坂さん…
「本気で言ってんの?」

「いや、あんまり本気じゃない」

なんなんだよっ!!呆れて赤坂を見ると、赤坂は微笑んだ。

「確かに湊は好きだけど。俺は、玲を一生懸命追い掛けてるお前が好きだからさ。もうちょい頑張れよ」

赤坂…

赤坂がそんな風に思ってくれてたなんて、全く知らなかった。
そう言われると、少し頑張ってみようかなという気になる。

「ありがとう!!赤坂大好き!!」

「おー俺も好き。でもその言葉は玲に言うべきじゃね?」

確かに。
今日、玲はもう授業を入れていない。バイトもない曜日だし、家にいるはずだ…

「俺、玲の家に行く!!」

「大丈夫か?上手く言えるか?」

「……手紙書いていく!!」

俺は意気揚々とペンケースを取り出した。

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あきゅろす。
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