ショート*ストーリー
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それから2ヶ月。今のところ、俺は性欲に勝ち続けてる。
ギリギリで。判定勝ちくらいの僅差で勝ってる。
寝顔盗撮しようとして顔面ボコボコにされたり、お風呂でバッタリ狙って湯船に沈められたりしてるけど、なんとか俺の料理の腕で追い出されずに済んでいる。
「おはよー玲、湊」
赤坂とはすっかり友達になれた。先月なんかサシで飲んだしね!!
ちなみにその時あっさり「玲が好きなんだよね?」と言われてしまった。
以来、密かに俺を応援してくれてる。
「おはよ、赤坂……ねみぃ…」
玲は赤坂の隣に座るとすぐに机に突っ伏した。
学校ではいつもこうやって寝てるから、寝顔は同居人の俺だけのものなんだ。
「仕方ない奴……あれ、湊手首どうした?」
赤坂が俺の手首に貼られた絆創膏を指さした。
「これは今朝、玲に爪痕つけられた記念」
嬉しそうに答える俺に、赤坂はちょっと引いてる。
「あぁ……お前の恋も、早く実るといいなぁ」
「どうかなぁ……まぁ、玲が俺の気持ちに応えてくれるまで頑張るけど!!」
「湊って見かけによらず健気だよな」
赤坂は本当に優しい。
「ありがとう!!いつか、玲に『俺をめちゃくちゃにして?』って言われるまで頑張るから!!」
「湊って……見かけによらず変態だよな…」
赤坂は完全に引いていた。
授業が終わって休み時間。2限と3限は玲と違う授業だから、もう夜まで会えない…
寂しさを胸に「夜ご飯何がいい?」と聞くと「今日はいらねぇ」と残酷な返事。
「なんで!?」
「バイト仲間と飲み会だから」
「えー!?それ行って大丈夫?変な男につかまんない!?」
「てめーに心配される筋合いはねぇよ。死ね」
また玲から回し蹴りをくらう。
結構痛いんだよ、これ…
呆れてる赤坂を連れて、玲は次の教室に向かってしまった。
玲、今日はご飯食べてくれないのか…
寂しすぎる。
『てめーに心配される筋合いはねぇよ』
わかってる。わかってるけど…
俺は、心配できる立場になりたい。
玲が他の男と仲良くするのを、指をくわえて見てるだけの生活はやめにしたい。
いつも玲の傍にいたい。
玲に、愛されたい。
……ダメだ。
一緒に暮らしてもらってるだけでも奇跡なのに、俺欲張りすぎる。
本当に俺の恋、早く実るのかなぁ…
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