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ショート*ストーリー
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きっかけは、授業中耳にした玲の一言だった。

「俺ルームシェアしてくれる人探してんだよね」

「あれ、元々してなかったっけ?」
玲の隣に座っている友達が尋ねる。

「追い出した。でも一人じゃやってけねぇし…」

俺は偶然、玲の後ろの席に座ってその会話を聞いていた。
そして、チャンスだと思った。

「お、俺とかどうかなっ?」

いきなり割り込まれて驚いたのか、玲と玲の友達は目をぱちくりさせた。
しばらくして玲が怪訝な顔で俺に尋ねる。

「あんた……誰?」

「俺、湯島湊。綾瀬くんと同じ学科なんだけど…」

「……知らねー」

俺は知ってます!!入学当初からずっと目で追ってました!!ついでに言うとさっき『偶然』って書いたけど本当は狙って後ろ座りました!!

なんて心の中で叫びつつ、玲に言う。
「今は実家暮らしなんだけど……俺もちょうど、誰かとルームシェアしたくて!!」
一人暮らしはしたかったけど、ルームシェアなんて考えたこともなかった。
早く申し込まないと、玲はモテモテだから誰かにとられてしまう!!
それしか考えてなかった。

「悪いけど、初対面の奴はちょっと…」

「で、でも……これから、仲良くなっていけばいいし!!」

警戒してる玲の目。ダメかな…
すると隣の友達が俺を見て言った。
「いいじゃん玲。悪い奴じゃなさそうだし」

良い奴だ!!玲も「赤坂がそう言うなら、ちょっと考えるけどよー…」と言ってくれた。
赤坂くんって言うのか。

まだ悩んだままの玲に俺は必死で語った。
「俺、なんでも綾瀬くんに合わせるし!!迷惑かけないし……料理も作る!!」

「料理?」
玲がぴくりと反応した。
「うん、料理得意なんだ!!小さい頃から趣味でやってるから…」
みるみるうちに玲の表情から警戒が抜けていく。これはもしかして、やったかも…

「良いよ。詳しく話そうよ」

玲の一言に、俺は歓喜した。
その後、俺と玲と赤坂くんでお昼を食べ、次の週には玲の部屋に俺は転がり込んでいた。

その時の嬉しさと言ったら、書き表わせられない!!
今まで見つめるだけだった玲と一緒に暮らすことになるなんて!!

手料理を食べてもらえるのも幸せだった。
ちなみに初日の夜ご飯はハンバーグを作ってあげました。玲が「旨い」って言った時、半泣きしたなぁ…

そして、お待ちかねの初夜。
玲の家はリビングを挟んで2つ部屋がある。だから寝る部屋ももちろん別だけど、もしかしたら玲が『ミナたん、寂しいから一緒に寝よ?』とか言ってくれるかも!!なんてヨコシマな妄想をしていた。

「おやすみー……あ」

玲が思い出したように振り返る。
「何!?玲っ」

「大丈夫だと思うけど、夜ばいとかしねぇよな?」

予想外の言葉に、固まってしまう。

「前の同居人追い出した理由、それだから。あんたは女に困らなさそうな外見だから、OKしたんだけど」

玲は「じゃあ」と言って部屋に入っていった。
襲ったら、追い出される…
ドアの向こうには、無防備に眠る玲がいるのに!!

その日から、俺と性欲の戦いが始まった。

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