ショート*ストーリー _ 朝からたまらない。 この寝顔は、たまらない!! 俺はゆっくりその寝顔に触れてみる。 「ん……?」 やっぱり声もたまらない。かわいらしいのに、色気がある。 声の主は目を閉じたまま俺の手首をそっと掴む。 もっと触れって?可愛いな… 唇を撫でようとしたところで……俺の手首に、思い切り爪が食い込んだ。 「いってええぇぇえ!!」 慌てて振り切ると3つの深い爪痕。血こそ出てないけど、紫色になってる… 「気やすく触んなって言っただろ」 爪をたてた張本人は、上半身を起こして目をこすっている。 「それにしても今のは……脈切れるかと思ったよ…」 「おー切れろ切れろ。めでてーじゃねぇか」 アイドルのような美しい童顔に似合わず毒舌を吐いているこの男は、綾瀬玲。大学1年生。 俺の、ご主人さまである。 「んで、メシできてんの?」 「もちろん!!だから起こしに来たんだよっ」 「あっそ」と言ってベッドから降りる玲。 162センチの小柄ボディが今日も可愛い… 「今日授業いつからだっけ」 「1限から3限までだよ!!」 すかさず答える俺。なんか本物の執事みたい!! いつでも傍にいて、夜には『ご主人さまの靴を舐めるんだ』なんて玲に命令されたりして… 「早くメシ出せよっ!!」 玲に回し蹴りをいれられて、俺は台所へとんでいった。 今日の朝食はハムと卵のパニーニです。 テーブルに座った玲の前に出すと、玲は無言で食べはじめた。 はぁ……今朝も玲が俺の作った朝食を食べてくれてる。嬉しい… 「……おいしい?」 「人が食ってる時に話し掛けんな」 うん、即答。 でもこれでいいんだ。夢だったんだから。あの時掴んだ、俺の夢なんだ… 「ぼーっとしてねぇでカフェオレ持ってこいよ!!」 「痛っ……俺、今から回想始めようと…」 「知るか!!早くしねぇとベランダから吊し上げるぞ!!」 ……こ、こんなんでも、俺の夢だったんだ… [次へ#] [戻る] |