ショート*ストーリー
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翌朝。
「おはよー朔」
当たり前のように集まってる男女数人の集団。俺も当たり前のようにその集団に加わるわけだけど、今日はどうしても言いたいことがあった。
「部活やってる奴、挙手!!」
キョトンとしつつも手を挙げた数人を俺は指差した。
「3年の先輩に上原ってクラスメイトいないか聞いて!!クラス知りたいから!!」
上原ってのは、もちろんノゾミくんの名字。
こんなんで見つかるか心配だけど、これしか…
「上原って、上原先輩?うちの部にいたけど…」
……え、マジで?
発言したのはバスケ部の奴。ノゾミくんの片割れがバスケ?いやーないっしょ…
ノゾミくんと結び付かないもん。別人じゃね?
「その上原さん、名前は?」
「えっと、上原……上原、イノリ」
そいつだ。
もー絶対そいつだ。確信。
望と祈!!
上原家テキトー!!
「何組?その人」
「えっと……A組かな」
A組ね!!こりゃ行くしかないね。
早速今から行くしかないね。
「朔ーその人がどうしたの?」
1人の女の子が尋ねる。
「うーん……知り合いの知り合いなんだよね」
そう言い残して俺は教室を飛び出した。
ノゾミくんの片割れ……楽しみだなぁ。
3年A組……ここですね!!
早速中を覗いて教室を見回す。
ノゾミくんノゾミくん…
あ。
……あぁ!?
あの顔……窓際の席のアイツ、微妙にノゾミくんっぽい。ノゾミくんと違ってキリッとしてるけど、顔の造りは一緒。
でも……あれが、ノゾミくんの片割れ?
ノゾミくんと言ったらサラサラの黒髪に、穏やかな表情の好青年。
だけどあれは、明るい茶髪にゆるいパーマ、常にナイフ隠し持ってますみたいな無愛想顔。
なんか、俺が思ってたのと違う…
ちょっとテンションが下がったけど、ずかずかと教室に入ってその人の机を目指す。
「……あの、上原イノリさん?」
そう尋ねるとその人は俺を見て小さく「そうだけど」と呟いた。
やっぱりこの人が、ノゾミくんの片割れなんだ…
「俺、ノゾミくんの親友の弟なんだ。よろしく」
2個上だから敬語を使うべきなのかもしんないけど、ノゾミくんにタメ口だからいっか…
イノリくんは怪訝だった顔から一転、顔をぱあっと明るくさせた。
……笑顔は、似てるかも…
「えーあんたが!?紺の弟くん?」
え、なんで知ってるんだ…
呆然としているとチャイムが鳴った。やべ、授業始まっちゃった…
「じゃあ」と言おうとすると、イノリくんに腕を掴まれた。
「朔ちゃん、1限サボろうよ。俺、体育なんだけど……体操着ないし」
はぁ!?
馴れ馴れしすぎませんかアンタ…
俺はサボりたくないんだけど。
とか思ってるうちに3年A組の人たちが続々と更衣室へ消えていく。
「マジで言ってんの?イノリくん」
「おーマジマジ。図書室でいろいろ教えてよ、昨今兄弟のこと」
昨今兄弟ってなんだ……!?
と思いつつ、やっぱりノゾミくんと似た顔で見つめられると断れない。
それにしても、ノゾミくんと全然違うんだな…
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