ショート*ストーリー
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息を殺してリビングに戻り、悶々としていること数十分。階段を下りる音がして、俺は我に返った。
「朔、ノゾミ……送ってくるね」
「お、お邪魔しましたっ」
『いやいや、そんな平然としてますけどさっきセックスしてましたよね?』
なんて言えるはずもなく、俺は力なく「いってらっしゃい」と返した。
ヤバい、頭が整理できない…
全部ショックだ。全部、全部。
まず、兄貴の情事を盗み聞きしてしまったこと。
それが男同士だったこと。
相手はノゾミくんで、しかも兄貴が攻めてて、結構ドSで…
……こ、こんなに反応に困ること、なかなか無いぞ…
兄貴は兄貴の人生があるだろうから、あんま偏見しちゃいけないよな…
いやでも、あの兄貴だぞ!?
「……そんなに気持ち良いのかな、ノゾミくんの体…」
自分の呟いた言葉に、鳥肌がたった。
な、何考えてんだ俺!!
ただ、あの兄貴が恋人にするくらいの男なんだから、相当…
「朔、たーだいま…」
「うわぁっ!?」
いつの間にか後ろには兄貴がいた。
気配消すの上手すぎる…
「の……ノゾミくんと、何してたの?」
必死に平然を装いながら兄貴に尋ねる。
「うーん……遊んでた」
兄貴は俺が盗み聞きしてたことに全く気付いてないみたいだ。『遊んでた』ね……禁じられた遊びだね…
「朔、夜、電話……ノゾミだから、取らないでね」
知らねぇよっ!!
つーか、いい加減に携帯持てよ……『使い方わかんない』とか言ってる場合じゃないだろ…
兄貴は「お風呂…」と言ってリビングを出ていった。
お風呂ね…
さっきの喘ぎ声を思い出して、顔が熱くなる。
ノゾミくん、あんな声出すんだな…
どうやったらああなるんだろ。
どういう経緯でああいう関係になったんだろ。
つーか、どうやってやんのかな…
気になりだすと止まらない。
盗み聞いたノゾミくんの喘ぎ声を頭の中で何度も何度もリピートした。
俺も鳴かしみてーな…
いや、なんか、おもしろそうじゃん?
俺もあれが欲しい。
……あ、久しぶりに思った。
俺も兄ちゃんと同じヤツ、欲しい。
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