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メイクビリーブ

07:00。目覚めは良いけど、できれば目覚めたくなかった…

「あれは……まずかったよなぁ」

昨日…
「本気だったんですか?さっきの条件」
と尋ねた俺に、東郷先輩は当然とでも言いたげに頷いた。

「む、無理です!!問題ありまくりです」

「男のくせに約束破んのか」

「それは…」

夏樹は何も知らずにキョトンとしてるし、黒坂先輩はニヤニヤしながら成り行きを見てる。

「だって……俺の名前も知らないですよね?」

東郷先輩は少し黙り込んだ。
いやいや、考えたってわかるわけないだろう!!
今日初めて喋ったんだから…

「な……なんていうんだよ、名前」
東郷先輩の言葉に、なぜか黒坂先輩が吹き出していた。
「中谷力ですけど…」

「中谷……もう問題ないだろ。条件を飲め」

東郷先輩が俺を睨む。怖いけど……でもつ、付き合うなんて……一体どういうつもりなんだ?

東郷先輩がいなかったら夏樹は……でも俺先輩のこと好きじゃないし!!
その前に男だし…

考えれば考えるほどパニックになった俺は…
その場を、逃げ出した。

「ち、チカラさん!?」
しかもちゃっかり夏樹の手を引いて。

全力で走って校門を出て、何か問いたげな夏樹を連れて学校を後にした。
あぁあ、こんなことになるなんて思ってもみなかったなぁ…



こんな憂鬱な朝があるだろうか。
大体いきなり『付き合え』ってどういうことだよ!?
本っ当どういうつもりなんだ、あの人は…

そんなことを考えていると、下駄箱で夏樹に会った。
「チカラさん!!おはようございます」
そう言って何も言わず俺が靴をはきかえるのを待っててくれる。
良い奴だなぁ…

「あの、昨日のことですけど」
「あぁ、そのことなんだけどさ…」

なんて説明しようか迷っていると、突然肩を掴まれた。

「昨日はいいとこで終わっちゃったな」

恐る恐る振り返ると、昨日夏樹が下敷きにした白髪の不良だった。
夏樹ももう片方の手で肩を掴まれている。

「ちょっと屋上まで来いよ?あ、邪魔だけど一応お前も」

怖いくらいにニッコリ笑っている。
ていうか怖い。普通に怖い。

結局その白髪に連れられ、俺は夏樹と屋上に来た。

屋上の扉を開けた瞬間、俺は地面に向かって突き飛ばされた。
体がフェンスに当たってガシャンとなる。

「昨日はなぜか東郷リュウが来て仕方なくやめたけど……今日はそういかねぇぞ。
まずはお前を片付ける」

白髪がそう言って俺の胸ぐらを掴む。
朝からこんなことになるなんて…
どんだけツイてないんだ俺ら!!

ていうか今のうちに夏樹逃げろよ。
俺はもうダメだ…

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