メイクビリーブ
...☆
東郷先輩は俺の体を離して両方の肩を掴んだ。
「……お……俺たち、男同士だぞ」
それこそ今更だな!!
「そうですね……これからゆっくり考えていきましょう」
周りの目を気にしなくちゃいけないけど……とりあえず味方は2人いるもんな。
夏樹と黒坂先輩。
「俺、すぐ欲情するし…」
「自覚があるなら抑えて下さい」
東郷先輩はばつの悪そうな顔になった。
小さく「わかった」という言葉が聞こえたかと思うと、すぐにまた抱きしめられた。
「……中谷」
ありがとう、と言われて自然と涙が出てきた。
ゆっくりと、東郷先輩の後ろに手を回してみる。
それに気付いたのか、東郷先輩は腕に一層力を込めてきた。
「な……中谷……チカラ…」
フルネームかい。
「中谷でいいですよ」
「……じゃあ、中谷……中、入れよ」
そういえば俺ら……玄関先で何してんだ。
当然のように頷こうとしたけど、寸前で大切なことに気が付いた。
「変なことしませんか?」
「は?……するに決まってる。もうそういう関係だろ?」
「そっそれとこれとは別ですよ!!」
「同じだろ!!」
東郷先輩が学校一の睨みをきかす。
それは反則だろう!!
「……とにかく、中入れ」
俺は無言で、鍵を開ける東郷先輩の後ろ姿を見つめた。
絶対阻止してやる…
とは思いつつ、どっかに流されちゃおうかなって気持ちもある。
……いや!!何言われたってダメなもんはダメだ!!
鍵を開けた東郷先輩がため息をついた。
「どうしたんですか?」
「いや……嬉しくて。中谷がまたこの部屋に入ってくれるんだと思うと…」
「そんなに嬉しいですか?」
「当たり前だろ。ずっと好きだったんだから…」
うーん…
やっぱり……交渉次第だな。
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