[携帯モード] [URL送信]

メイクビリーブ
....☆
どういうことだ?
俺は東郷先輩にとってちょっと特別な存在だった。でも『好き』ではなかったらしい。
ただその時期から……東郷先輩は彼女を作らなくなったという。

「どうして…」

「教えてくれなかったなぁ。リュウくんは俺に素直じゃないから」

黒坂先輩はそう言って肩をすくめた。
「そう、それで……あの日だよ。俺が中谷に声をかけた日。リュウがお前に告白した日だ。
お前も驚いただろうけど、俺だってびっくりした。
リュウは口では否定してても、心の中ではお前が好きって認めてたんだよ。
まぁ、俺の言った通りだったから恥ずかしかったのかな!!」

なるほど、確かに東郷先輩って黒坂先輩に素直じゃない…

って、あれ?『告白』?

「そうだよ。お前はただの条件だとか脅しだとか思ってたみたいだけど」

あれは、リュウからお前への一世一代の告白だったんだ。

黒坂先輩がそう言った時、俺は正直泣きそうになった。
だってあんな言い方あるかよ?
何が『条件がある』だよ。

「お前に過去の自分の話をしたくない。でもどうしてもお前のそばにいたい。そう思ったリュウの、最終手段だったんだねぇ」

初めて聞く東郷先輩の過去の話に、驚きが隠せなかった。
東郷先輩はずっと俺を知ってたんだ。ずっと俺が……
俺が憧れてくれるような男になりたいって、思ってくれてたんだ…

「バカだろ…」
学校一ケンカの強い伝説の男とか言われてるけど、全部俺なんかのため?笑える。

「あと……中谷」
黒坂先輩が思い出したように付け足した。
「リュウも、かなり動揺してたと思うんだ。生まれて初めて本気の恋愛して、しかも相手は男で…
だから、あいつも陰では結構悩んでたと思う…」

確かに……強引だったり弱気だったり、曖昧な態度だったもんな…
「……あ」

『あんたに男にあんなことされた人間の気持ちがわかってたまるか!!』

あれ、傷ついただろうな…
東郷先輩だって悩んでたのに…



でも。
『男女とか関係なく、お前が好きなんだ』って言ってくれたら、俺だって……少しはちゃんと考えたのに!!

「だから中谷、リュウを許してやってほし…」

「許しません!!」

謝れ、東郷リュウ。ちゃんと本当のこと言って…
告白しろ。
ちゃんと、イチから始めよう。

一度目を丸くした黒坂先輩は、満足気に頷いた。
「……俺からの話は以上。話し疲れちゃった」
あ、と声をあげた黒坂先輩を見ると、久しぶりのニヤニヤ顔が待っていた。

「もう一個おまけ。リュウは…」

[*前へ]
[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!