[携帯モード] [URL送信]

メイクビリーブ
..☆
いやでも最初に目についたのは、所々に血がついた制服のシャツだった。
ここに来る前も、ケンカしてたんだろうか…

「……何の用だよ」
東郷先輩の第一声はこれだった。続いて
「つーか、誰」
……それはひどいんじゃあ…

「わ……忘れてんじゃねぇよ!!」
本当だよ。

長髪は怒った顔をやめてニヤリと笑った。
「こっちは人質がいるんだし……あんま怒らせない方がいいぜ」
そう言って俺を指差す。
東郷先輩を俺を見ない。

「なぁ……だからなんの用だよ」
東郷先輩ってこんな喋り方だったっけ。
俺が合コン行った時のなんて怒ってるうちに入ってなかったんだな…

長髪は東郷先輩に近づいて行った。
「俺ら、東郷を殴ってみたかったんだよね……無抵抗の東郷をっ」
ガシャンと音を立てて、東郷先輩が黒坂先輩の方に倒れこんだ。
「東郷先輩っ!!」

黒坂先輩はあぐらをかいたまま動かない。
3人は「まだ一発だよ〜?」と言ってケラケラ笑ってる。

東郷先輩はゆっくり立ち上がって長髪を睨んだ。

ヤバいだろ!!

乱闘の予感。東郷先輩ブチ切れちゃうよ!?3人ともボコボコにされちゃうよ!?

ところが東郷先輩はポケットに手を突っ込んだ。
「……あと何発で、中谷解放してくれんの」

ば……バカがいる。
プライドとか無いのか。いや、よく考えると結構かっこつけてるかも。

「やれよ。気のすむまで」
……やばい。俺……泣きそう。

東郷先輩の言葉を聞いて3人は思い思いに東郷先輩を殴り始めた。
東郷先輩は倒れたまま、じっとしている。

「く……黒坂先輩!!」
俺たちは身動きとれないんだから、先輩が止めてくれないと…

黒坂先輩は俺の方を向くと真面目な顔で言った。
「無理。俺にリュウを止める権利はありません」

「だったら俺たちの縄ほどいて下さい!!」
「うーん……ごめんなさーい」
黒坂先輩はいまだに動かない。

「チカラさん……東郷先輩大丈夫でしょうか?」
夏樹も心配そうにボロボロになってく東郷先輩を見ていた。
「わ、わかんないよ…」

「男好きの東郷くん、恋人のためならなんでもするんだなぁ。立派立派」

「なぁ、あいつのケツん中気持ちいいの?」

3人は好き勝手なことを言いながら東郷先輩を蹴り続ける。

なんでやり返さないんだろう…
俺はどうすることもできないまま、ただじっとこの惨劇を見つめていた。

[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!