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メイクビリーブ
.☆
東郷先輩に負けた腹いせに、俺たちを誘拐。
なんて低レベルな不良なんだ…
長髪の男はさっきから俺たちのそばで電話してる。仲間と連絡を取り合ってるっぽかった。

「俺たちを人質にしても東郷先輩は来ませんよ」

「東郷がお前を気に入ってることはわかってんだよ」

長髪に即答された。
……やっぱストーカーか!!
よく調べてあるなぁ…

「東郷先輩を呼び出してどうするんですか?」

「関係ねぇだろ」

あー……ごもっとも。

ていうか『俺たちを人質にしても東郷先輩は来ません』っていうの、俺はあながち嘘じゃないかもって思ってるんだけどな。

まずケンカして気まずいままだしね。『なんかあったら呼べ』って言われてるけど、俺呼んでないしー…

……でも、本当は、来てほしい。だって俺のヒーローなんだ。またあの時みたいに助けにきてほしい…

「チカラさん、大丈夫ですか?」

不安が表情に出ていたのか、夏樹に心配されてしまった。
俺のせいで、夏樹もこんな目に…

「おい、東郷が来るみたいだぞ」
長髪が他の2人に声をかけた。
あ、東郷先輩が来るんだ……ケガしないと良いけど…

「夏樹、東郷先輩が来るって」

「大丈夫でしょうか?3人も相手に、ケンカするのですか?」

「……さぁ…」



そして、10分くらい経った時、廃墟のドアが開く音がした。俺たちのそばにいた長髪も、離れたとこでタバコを吸っていた他の2人も、俺と夏樹も一斉に注目した。

中に入ってきたのは……東郷先輩ではなく、黒坂先輩だった。

「やべ、全然歓迎の空気じゃない」
黒坂先輩はそう呟いて俺と夏樹の姿に気付くと
「おー中谷、夏樹くん。無事で何より」
と嬉しそうに手を振った。

「なんでお前が来るんだよ!!東郷はどうした!!」
長髪が怒鳴る。怖い…
「いやーリュウくんは今こちらに向かっておりますよ……中谷が無事か先に行って確認しろって言われまして…」
なんか黒坂先輩のヘラヘラしてる顔見てると、気が抜ける…

「まぁ見た感じ無事ですね、と。はい、そろそろリュウくん来ると思うんで」

そう言って黒坂先輩は入り口のそばに座り込んだ。
不良3人組は殺気立ってる。
そりゃそうだよなぁ…
いよいよと思ったら前座だったんだもんな。

でも黒坂先輩が来てやっぱ安心だ…

「あ、来たみたい」

突然黒坂先輩が建物の外の方を向いて言った。言った通りドアが開いて、入ってきたのは……今度こそ、東郷先輩だった。

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あきゅろす。
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