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メイクビリーブ

夏樹の恋が始まるはずだった日曜日の映画館デートは、結局いつものメンバーが集まって終わった。

黒坂先輩と夏樹の秘密もあるみたいで、東郷先輩も少しだけ感付いてる。
東郷先輩の言う通り、俺って鈍感なんだな。

だけど…
『お前がお疲れさまって言って、終わらせてやれよ』
東郷先輩がああ言ってくれて、夏樹との友情はかなり強くなった気がする。

言ってることわけわかんないしド変態だけど、東郷先輩って本当はすごく頭がよくて優しい人なんだよな。

たぶん。

「チカラさん、おはようございます」

「お、夏樹おはよー」

「昨日は、すみませんでした…」

「まだ言ってんのかよ」

夏樹、謝ってばっかだな……まぁ夏樹らしいけど。
「でも、せっかくのデートをお邪魔してしまって…」

「で、デートじゃない!!なんで俺たちがデートしなきゃいけないんだよ!!」
確かに2人で映画観に行ったけど、後ろでエロいことしてたけど、断じてそんなんじゃ…

「でも、お二人は恋人同士ですし…」

「夏樹……前にも言ったけど、俺たちはワケ有りっていうか……好き同士とかじゃないんだ」

「確かにそう聞きましたけど…」
夏樹が見たことない真剣な表情を見せた。
「チカラさん、今でもそう思ってるんですか?お互い好きじゃないって」

……そう言われてみると、どうなんだろ。
とりあえず東郷先輩が俺をイジメたくて、あんなことを言ったわけじゃないことはわかった。
イジメでキスはできないもんな。

あと、体目的でもない気がする。
東郷先輩は確かにド変態だけど、なんだかんだ俺が泣いたらたじろぐんだよな。

……じゃあ、何?
『好き』なの?どこが?なんで?
わからない。

一方、俺は?もっとわからない。
心に霧がかかってるみたいだ。
前は起きるのは嫌だったくらい東郷先輩が苦手だったけど、今は何時間一緒にいても苦じゃない。
結局キスとかしちゃってるし。

東郷先輩の気持ちがちゃんとわかれば、俺の気持ちもわかると思うんだけどな…

たぶん。

「チカラさん?僕、言い過ぎましたか?」

気がつくと、申し訳なさそうな夏樹。

「え、いやいや……確かに、はっきりさせておくべきなのかなぁと思って」

もしくは、ずっとこのままでも良い気がする。どんな事情があろうと、俺は現状に満足してるし…
うーん、難しいな。ずっとこのままって無理なのかなぁ?

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