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メイクビリーブ
...☆
「その、他校の女の子に……声をかけられたのです」

えっ。
「夏樹くんに春が来たねぇ」
黒坂先輩の言う通りだ。
「夏樹!!良かったじゃんか!!」

ところが夏樹はブンブンと首を振った。
「違います!!それが……紹介してほしい人がいると頼まれまして」
紹介?誰を。
3人で先を待っていると、夏樹はおずおずと言った。

「く、黒坂先輩……なんです」



……はあぁああ!?
当の黒坂先輩もさすがにちょっとびっくりしてる。

夏樹は否応なしに連絡先を渡され、相手は遠回しに催促してくるらしい。
「ですが黒坂先輩に申し訳ないというか……彼女の募集人員は締め切っているようですし」
そういう問題じゃないだろ!!

それにしても、夏樹……本当にお人好しだな。その子と先輩の問題なのに、あんなに悩むなんて…

まぁ残念だけど、黒坂先輩は人間の敵だからな…
「ありがとう夏樹くん、ぜひ紹介して下さい」

「黒坂先輩!?」

夏樹も俺もびっくりだった。
だって黒坂先輩だし、彼女はぴったり5人いるんじゃ…

「まぁ1人くらい増えてもいいし、見てみたいな。その子」

「じゃ……じゃあ今週末とか…」

「あぁ、良いですねぇ。夏樹くんもぜひ立ち会って下さい」

黒坂先輩……このニコニコ顔の裏で何を企んでいるんだ!?

ちなみに東郷先輩は、我関せずとコロッケパンを頬張っていた。



「夏樹くん、何時にどこだったっけ?」
「2時に駅前です」
金曜日、夏樹がその他校生に黒坂先輩を紹介する日時が決定したらしい。

俺は心配で心配で仕方ない。
なんせ黒坂先輩が快諾した理由がわからない。
『尾行しようかな?』
とも思うんだけど、それって人として最低だよな…

「休日に夏樹くんと会うの初めてだね〜」

「あ、僕は桜さんを紹介したらすぐ帰るつもりなんですが…」

「なんで!!夏樹くんも映画くらい一緒に観ようよ」

もしかして……夏樹を巻き込んで何かするつもりなんじゃ…
やっぱり、俺も様子を見に行こう!!夏樹に迷惑かけないように、1人でひっそり行けば…

「……中谷」
急に東郷先輩が小声で呟いた。
「お前、ついていく気だろ」
「えっ…」
「俺も行く。お前を野放しにしてやるもんか」
な、なんで東郷先輩まで!!

ていうか、東郷先輩が一緒にいるとすごく目立つんですけど…
その金髪とか、いやに高い背とか、どうにかなんないかな…

「わかったな」
そう言いたくても、東郷先輩にギロリと睨まれたらこう返すしかない。
「わかりました…」

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