メイクビリーブ
...☆
「ごちそうさま……でした」
すごく美味しかった。
けど、口には出せない。
変態東郷先輩にまた餌付けがどうとか言われてしまう…
ていうか。
「昨日、なんもしてませんよね……?」
俺、結局寝ちゃったし…
恐る恐る尋ねると、東郷先輩はあっさりと答えた。
「してねぇよ。ちゃんと我慢した」
な……なんだ。やればできる子だ東郷リュウ。
「よ……よかったです。俺、東郷先輩のこと誤解してたかも…」
俺がそう言うと、東郷先輩はふっと笑う。
「中谷は純度100%だな」
……は?
どういう意味だそりゃ。
食べて早々だけど、もうお昼前なんだ。親に連絡して帰らなくちゃいけない。
「あ、俺携帯どこやったっけ…」
確か昨日、ユミから電話にして東郷先輩に取り上げられて…
「ほら、返してやるよ」
あ、やっぱり東郷先輩が持ってた。
「ありがとうございます…」
「残念だけどアヤコちゃんから一生連絡は来ないと思うぞ」
は!?
アヤコちゃんって昨日連絡先交換した子だよね!?なんで東郷先輩が知ってんの!?
電話帳を開くと確かにアヤコちゃんのメアドが綺麗さっぱり消えている。
すぐに着信履歴を見ると……アヤコちゃんの名前。しかも、留守録にならずに取った形跡がある。
「なんで人の電話に勝手に出るんですか!!」
「鳴ったから」
「な……何を言ったんですか!?なんで勝手に消したんですか!?なんでっ…」
「中谷」
遮るように名前を呼ばれてはっとした。
ニヤリと笑って東郷先輩が言う。
「合コン行ったこと、反省してんだよな……?」
こ……こえぇ!!
東郷先輩って睨んでも怖いけど笑うともっと怖い!!黒いオーラ出てる!!
「反省……してます…」
「次は俺以外の人間全員消してやるからな」
そして手元に返ってきた携帯。
も、もう二度と離したくない…
結局その後、東郷先輩に送ってもらって俺は家に着いた。
我が家、なんかすごく久しぶりな気がするなぁ…
「えっと……送ってくれてありがとうございました」
ペコリと頭を下げると東郷先輩がポンポンと頭を撫でた。
「また来いよー…」
行きたくて行ったわけじゃないけどね!!まぁ……いいや。
手料理でもてなしてもらったし、東郷先輩が来てほしいって言うなら……うん、また行きたいかも。
「中谷」
「はい?」
「帰ったら一番に着替えた方がいいぞ」
「はぁ……なんでそんなことを?」
そりゃお風呂入ってないから汚いだろうけど。
「首の傷、まだちょっと目立つぞ」
そう言って踵を返す東郷先輩。
あ……あんたが付けたんじゃないか!!
やっぱり東郷先輩の家には一生行きたくない!!
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