メイクビリーブ
..☆
なんか、ジュージューうるさい…
ゆっくり瞼を開けると、知らない天井、知らないシーツ、知らない部屋。
ここはどこだ?
「……あ、東郷先輩の部屋だった」
すぐに意識がはっきりして、昨日のことを全て思い出した。
ユミと合コン行って、東郷先輩に見つかって、首筋噛まれたりして、反省のしるしにキ…
「うわぁああぁっ!!」
キスしたんだ……俺。
しかも舌とか入れられて、男相手に!!
ど、どうしよう……今さらどうしようもないけどさ。
とりあえずシーツとかかぶってみようかな…
「中谷?どうした?」
部屋のドアが開く音と、東郷先輩の声。心配してる?俺が大声出したからか。
こっそりシーツの中から顔だけ出してみた。
「……可愛いアピールしてんのか?言っとくけどそんなことしなくてもそこそこ可愛いぞ」
バカか!!変態!!
もう一度シーツを被ろうとすると、東郷先輩に引き剥がされた。
「早く起きろ。朝飯が昼飯になるぞ」
「朝飯が昼飯になるんですか?」
言いながら、部屋の中に漂ってきた良いニオいに気が付いた。
そういえば、ジュージュー音がしてたな…
「そう言ってんじゃねぇか……く、食ってくれるだろ…」
俯いて頭を掻く東郷先輩。
なんだこの展開。
「え、東郷先輩が作ったんですか?」
「うちにシェフがいると思うか?」
「いやいや、料理とかしそうなタイプじゃ…」
ないどころか、学校一似合わないよ!!だって学校一強いんだから!!
「一人暮らしだとめんどくせぇから、一品だけ覚えた」
「なんですか?」
「パスタ」
女子か!!
最強にして最恐の男、東郷リュウは簡単でバリエーションのある料理を覚えたいと、パスタを得意料理に選んだ。
そして今、俺の前に置いてあるのが、それ。
「すごい……美味しそうです!!」
東郷先輩が作った和風パスタが、リビングのローテーブルに並んだ。
本当に、女の子が作った料理みたいだな…
と思いきや、具の大きさはバラバラで、そこは『男の料理』って感じ。
「とりあえず、食え」
「はい!!いただきます!!」
促されるまま一口食べる。
「お……美味しい!!」
すごい!!東郷リュウすごい!!
ちょうど良く醤油味がパスタに染みてて野菜と良く合ってる!!
とりあえず、美味しい!!
パクパク食べていると、東郷先輩は満足そうに微笑んだ。
「そうか、うまいか」
「はい!!感動しました!!」
「またいつでも食いに来い」
「はい!!また行きます!!」
「その時は俺のもんになれよ」
「は……い?」
東郷先輩はぺろりと舌なめずりをした。
「餌付けに成功した気分だ」
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