メイクビリーブ
☆
キスくらいなら我慢して、東郷先輩に早く許してもらいたい。
でも、恥ずかしいんだよ!!すっと言えないよそんなこと!!
黙ったままの東郷先輩。ちなみに手は今やどちらも俺のお尻にある。
「だから……き、きー……す、くらいなら、どうぞ」
東郷先輩が呆然としていた。
間抜けにならないのがイケメンの特性だな、このやろう。
「……何?」
えっ聞いてなかったのかよ。
恥ずかしさをこらえて、また聞かれないようにはっきりと叫んだ。
「だから!!キスしていいです!!だから、許してくださっ…」
言い終わらないうちに俺の口は東郷先輩の唇でふさがれた。
うわぁ、俺、男とキスしてる…
気持ち悪い……と思うはずだったけど、それより東郷先輩の柔らかい唇の感触に胸が高鳴った。
そろそろ離れるかな、なんて思っていたら、急に唇を割って口内に何かが侵入してきた。
舌が……東郷先輩の舌が、入ってきたんだ。
気付いた時にはもう、東郷先輩が俺の口内を舐め回していた。
「んっ……ふ…」
やめてほしくて何か言おうとしても、情けない声が洩れるだけ。
生暖かくて柔らかい東郷先輩の舌が、生き物みたいに俺の口内を犯す。
もう何分経ったんだろう…朦朧とする意識の中でそんなことを考えていると、やっと東郷先輩の唇が離れた。
透明の糸が引いて、ちょっとエロい…
「……なんでお前は、舌いれないわけ?」
東郷先輩の上気を帯びた表情は、ちょっとどころじゃなくエロい。
ていうか……なぜ俺が舌を。
「こういうキスのつもりじゃ……なかったんですけど…」
呼吸を整えながら答えると、東郷先輩はニヤリと笑った。
わぁ……妖艶。女の子が見たらすぐ惚れちゃいそう。
「俺は、こういうキスしか知らない」
そう言って、俺の唇をペロリと舐めた。
嘘つけ!!
恥ずかしくて仕方なかった俺は、東郷先輩をちょっと睨んでみた。
先輩はふっと笑う。
「そんな顔されると……我慢できなくなる」
……は?
何を!?何を我慢してるの!?
「俺、どんな顔してるんですか?」
「1分以上見てたら勃起しそうな顔」
どんな顔だよ!?
人の睨み顔に欲情するなんて、なんて失礼な…
「東郷先輩の変態…」
「お前がそうさせてる」
小さく呟いたつもりが即答された。
ちらりと東郷先輩を見ると、ニヤリと笑ったまま親指で俺の唇を撫でてきた。
良かった……機嫌直ったみたいだ。
なんか疲れちゃった…と思った瞬間、あくびが出た。
「中谷……眠いのか?」
「えっと…」
なんて答えようか迷っていると、「眠くねぇなら」と東郷先輩が俺のベルトを外そうとしてきた。
「眠いです!!」
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