メイクビリーブ ...☆ 『チカラ!?大丈夫か!!』 「心配かけてごめん……大丈夫だから」 『あの人なんだったんだ!?』 「いや〜高校の先輩で……ちょっといろいろあって…」 恋人とは、さすがに言えない… 『それならいいけど…』 あんな恐ろしいイケメンと交流のある俺、どう思われてるんだろ… 「ユミ、こんなことになっちゃったけど今日は楽しかったよ。ありが…」 突然手から携帯電話が消えた。 反射的に振り返ると、俺の携帯を閉じてニヤリと微笑む東郷先輩。 「……やっぱり楽しかったんだ?」 まずい……まずいって!! 「いや、違うんです、あの」 「ユミって誰?」 「違うんです!!ユミは男で、ユミっていうのはあだ名で…」 「男か女かは関係ねぇよ」 おっしゃる通りで。 まず俺たちが男同士だもんな。 「なぁ、何が楽しかったんだよ?誰と何を楽しんだのか、俺に言ってみろ…」 東郷先輩は俺の顎を持ち上げて、ぐっと顔を近付けてきた。 「ご、ごめんなさ……ひゃあっ!?」 東郷先輩はもう片方の手で……俺のお尻を撫でてきた。 「お前、本当に反省してんのか……?」 してます… って言っても、許してもらえるかなぁ… 内緒で合コン行って、『もう行かない』とか言っといて『楽しかった』なんて言うし… そもそも東郷先輩と付き合うって約束を一回破ってるし… 俺って信頼性0… 「反省してんのかって聞いてんだよ」 東郷先輩がもう一度尋ねる。 こ、怖い…学校一強い男の目だ。 本気になれば何十人相手でも1人で勝てるんだっけ……この人。 俺きっと朝が来るまでに死ぬんだ… とにかく俺の信頼性を取り戻すためにも、誠意を見せなくちゃ。 ……どうやって? 謝ってもムダだし……誓約書でも書くとか? そんなんで許してくれるか……? 『どうしたら許してくれますか?』 『……キス』 さっきの会話が頭によみがえる。 誠意かぁ… いや、でもキスはちょっと……俺ちっちゃい頃に幼稚園の女の子と1回した以来だよ。 でも1回だけ、1回だけキスすれば……東郷先輩は許してくれるだろう。 たぶん、いや絶対。 俺なんかとキスして何が楽しいのか知らないけど、変態の考えることなんかわかんなくていいや。 よし!!キスくらいなんだよ!! 一瞬じゃん!! 一瞬の我慢だよ!!事故事故!! 変態東郷先輩!!キスしていいからどうか機嫌を直して下さい!! そう思ってギュッと目をつむる。 「……何してんだ、中谷」 あ、全っ然説明してなかった。頭の中で勝手に話を進めすぎたな… 「あの……反省してますので、どうぞ」 「……は?」 怪訝な顔をする東郷先輩。 そうだよな、説明足りないよな… 俺はこっそりため息をついた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |