[携帯モード] [URL送信]

メイクビリーブ
.☆
午後の授業も無事に終わり、今日は夏樹と帰ることになった。

鞄を持った夏樹が言う。
「行きましょうっチカラさん」
「…やば、俺泣きそー」
「えっどうしてですか!?」

俺は元々、こんな高校に来たくはなかった。
平和な公立高校に行くはずだったのに、受験の時期に原因不明の高熱にうかされ、結果は全敗。

残された道は地元の荒れた私立高校。ていうかここ、だった。

「だからさ、こうやって友達と飯食ったり一緒に帰ったりすんの…中学ぶりなんだ」

不良と交際なんてできるわけない俺は、目立たず独りきりで高校生活を送ることしか考えていなかった。

俺の話に夏樹は何度も頷いて、良かったですねと言ってくれた。
本当に良い友達ができたな…

階段を降りて下駄箱に向かう。

「僕で良ければどんどん仲良くして下さい!!」
「あぁ、ありが…」

『とう』を言う前に、耳をつんざく程の悲鳴が聞こえた。
「ひゃあぁぁっ!!」

「夏樹!!」
夏樹が階段を転げ落ちたのだ。幸いあと数段だったものの、どこか打ってるかもしれない。

「大丈夫……か…」



俺は一瞬で青ざめた。
夏樹の足元に、人の顔があったからだ。白い髪が見える。
前に歩いていた人を下敷きにしてしまったらしい。
夏樹も気付いたらしく、慌てて起き上がった。

「ごめんなさいっ!!」
「いってぇなチビ!!」
下敷きになったのは、運悪く不良だった……いや、運が良くてもこの学校には不良しかいないけど。

周りにいた他の不良も、面白そうに集まってきた。
「どう責任とってくれんのー?」
「見かけない顔だな」
夏樹が「僕、転校生で…」と返すと1人が夏樹の肩を掴む。

「可愛い顔してんな。殴られるより犯される方が合ってるぜ」

やっぱり…夏樹が絡まれるとしたらこうなるだろうと思っていた。
男子校にいると穴があれば性別なんざ関係なくなるらしい。
俺はわからん。

夏樹に下敷きにされた白髪の不良が膝を払った。
「いってぇ…おい、倍以上の痛みを味あわせてやるよ」
「よっしゃ、やっちまおうぜ〜」

数人の不良が夏樹を連れて行こうとするのを見て、俺は慌てて階段を降りた。

「待てよ!!謝ってるだろ」
震える声で言うと、こっちに目が向けられた。
「あぁ!?…お前も見ない顔だな。お前も転校生か?」

「違う、俺は存在感がないだけだ…」
虚しい弁明をしながらも心の中で神に祈り続けた。
どうにかして、この状況を打破してください!!



神様は何もしてくれない。怒った不良たちが俺たちににじり寄る。
「悪いけどさぁ、お前に用はないから」
ここで寝てろっ…
そう聞こえた時にはもう俺の体は地面に叩きつけられていた。

「さぁ行こうか〜」
「どこでヤるんだよ?」

途切れていく意識の中で、『資料室』という言葉が聞こえた。

[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!