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メイクビリーブ
.☆
その日の夜のことだった。
寝ようとした時にちょうど、電話の着信音。
シカトしようかと思ったけど、東郷先輩かもしれない。俺は布団からのそのそと這い出た。

「もしもー……し」
『おいチカラ!!寝るな!!』

威勢のいい声に眠気がブッ飛んだ。
「あーユミかぁ…」
「そうだよ。久しぶり」

ユミは本名三宅遊海。本当はユウミだけど、クラスみんなユミって呼んでた。

ユミは中学の同級生。バレー部でも一緒だった。
高校入って1回何人かと一緒に遊んだっけ?
……そう、俺も中学時代は普通の学生だったんだよなぁ…

「ユミ、急にどうしたの?」
「ん〜ちょっと遊びの誘い」
「同窓会?あ、それともバレー部で集まるとか?」

やばい!!楽しみ!!
ここ最近で俺の高校生活は異常と化したから、久しぶりに気の知れた仲間たちと遊びたい…

「いや、俺の高校の友達たちと、その友達の女の子と…」
「何それ?」

俺アウェイじゃん。
しかも女の子とかいんの?

「……あーだから!!合コン!!」

……ごうこん?って合同コンパ?

「ど、どういうことだよ!?」
「友達開催でさぁ、他校の友達も連れてきて良いって言うから」

うわぁ……ユミの奴、青春を謳歌してやがるなぁ…
ご、合コンなんて。

「どうせなら一番出会いなさそうな奴を誘おうと思ってさ。お前男子校じゃん」

あっさり傷つくこと言うな…
確かに男子校だよ出会い0だよ。
でも…

「俺、行けないよ」

「なんでだよ?確かに知らない人ばっかでつまんないかもしんないけど、俺らが盛り上げるし!!」

いや、そう言ってくれるのはありがたいよ。それに、合コン自体が嫌とかじゃないんだ。

「大丈夫、みんな可愛い子ばっかだから」

「そういうんじゃなくて…」
俺自身認めたくないけど、俺恋人いるんだよな。
だから気が引けるっていうか…

「じゃあ何……あ、まさかお前もう彼女いんの!?」

……彼女?

「いや、彼女はいないけど…」

「なんだよ、びっくりした。
あーもう、彼女いなくて寂しいくせに草食男子のチカラくんは強制参加なー。
詳細はまたメールするから」

プツリと電話が切れた。
ユミの奴……なんて勝手なことを!!
参加しなきゃいけないんだろうか…

いや、でも合コン……はちょっと緊張するけど、ユミと一緒なら楽しそうだし。
彼女いないのは本当だし…
俺、嘘ついてないよな?
『彼女』はいないし!!

……でも、東郷先輩はどう思うだろ。

あぁあ、さっきまであんなに眠かったのに、もう眠れない…

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