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メイクビリーブ

「チカラさん?屋上……行きますよね?」
「あー……うん」

翌日の気分は最悪だった。
東郷先輩の家に行って、俺は緊張させられっぱなしだった。

『3日連続でお前の顔が見られないって落ち込んでる時に、お前が来たから』

『我慢してるんだ。お前を、抱きしめるのを』

今、思い出しても顔を覆いたくなるようなセリフばかりだった。
そしてとどめに
『噛み付きたいと思って』
は……恥ずかしすぎる!!
東郷先輩の変態!!

しかもそれを聞いて急に逃げちゃったし…
あの後、家に帰って『もしかしたら電話かメールが来るかも』と思ったけど、そんなことはなかった。

「チカラさん?着きましたよ?」

そして昼休み。
なんとなく、顔を合わせづらい…
意を決して屋上の扉を開けると、黒髪と金髪が真ん中であぐらをかいていた。

「おはよう中谷、夏樹くん。昨日は騙してごめんね」
黒坂先輩が悪びれずに言う。
夏樹にもとりあえず『風邪ひいたっていうのは嘘だった』ということだけは伝えてある。

「……中谷」
東郷先輩が俺を呼ぶ。
やばい。東郷先輩の顔見れない。絶対急に帰ったこと怒ってる…

「昨日は……来てくれて、ありがとな」

……は?
東郷先輩の口から出たのは、まさかのお礼。
なんだそれ。怒ってないの?

ていうか、そんな優しいこと言われたら…
「いえ……急に帰っちゃって、すみませんでした」
こう言うしかないだろう…

一度見たら、東郷先輩の瞳に吸い込まれそうになる。もう視線を動かすことができない…

「ラーブラブなの?君たち」

黒坂先輩の気の抜けた声で我に返った。
「そ……そんなんじゃないです!!」
「どう思う?夏樹くん」
「えっと……うらやましいです!!」
な、夏樹まで…

ラブラブなんてことあるわけないだろう!!
だってお互い別に、好きじゃ…

……どうなんだろう。

「黒坂先輩は、恋人はいるのでしょうか?」
「えー知りたい?」
「知りたいです!!」
夏樹と黒坂先輩、恋バナ始めちゃったよ…
女子か!!

「そっかぁ、でも秘密〜」
「うわぁ、残念です!!」
盛り上がってるし…ちょっと悔しい。
俺も入ってみようかな…

「夏樹は?恋人いるのか?」
「いないんです……残念ながら」
「かわいそうにねぇ、自分がラブラブだからって」
黒坂先輩が夏樹の頭をポンポンと叩く。
なんで俺がこんな扱い受けなきゃいけないんだっ……!!

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あきゅろす。
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