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メイクビリーブ
..☆
帰り道、セクハラ事件にまだ怒っているのか東郷先輩は終始不機嫌だった。

「4人とも帰り同じ方向で良かったねー」
黒坂先輩が言った。
確かに、遠回りしなくてすんだな…

「そうだ。夏樹今度俺の家来いよ」
「いいんですか!?あ……でもはい、予定が合えば、お邪魔しますね」

後半は完全に東郷先輩をチラチラ見ながら言っていた。
そっか。恋人の前で友達に家来いとか言っちゃダメなのか?
こういうとこまでリアルに恋人しなきゃいけないのか……なかなか大変だな。



しばらくして、別れる地点に来た。
「また明日ー」
「さようなら」
黒坂先輩と夏樹が歩きだす。
俺も別の道に行こうとしたその時、東郷先輩に腕をつかまれた。

「……送る」
「あ、でもすぐそこですけど」
「いいから、送る」
東郷先輩、よくわかりません…
仕方なく残りの家路を東郷先輩と歩いた。

えーと……うん。喋るネタがない、けど。
「……あの、今日は2回も助けてもらって、ありがとうございました」
「別に……良い」
わぁー、気まずい!!
でももう俺の家見えるとこ!!

「あ、俺ここなんで」
送ってくれてありがとうございました
と言おうとすると、急に腕を引かれた。

「えっ!?」
気が付くと俺の顔は東郷先輩の胸に引き付けられている。

何これ!?
もしかして抱きしめられる展開!?
東郷先輩の厚くて硬い胸板に、不覚にもドキッとする。

「と、東郷せんぱ…」

声が出なくなった。それくらい驚いた。
なんと東郷先輩は……俺の尻を揉み始めたのだ。

どうしていいかわからなくてしばらく目の前の胸板を見つめながらじっとしていた。

先輩の手は休まらない。
頭おかしくなっちゃったのかな…
「せ、先輩?」

「……さっきの奴にやられた分、取り返さないと……気が済まねぇ」
やっと口を開いたかと思えば…
そんな理由かよっ!!
セクハラ事件、相当根に持ってたんだな…

「それにしても、長過ぎでは…」
「……もう、あいつに触られた時の感触は忘れたか?」

「は、はい」
ていうか一瞬のことで覚えてもないしね。

それに、東郷先輩の揉み方……なんかエロい。心臓がやばい。呼吸が下手になってくる。

「は……離して下さい」
やっと言うと、東郷先輩は手を離した。
「じゃあな。明日も昼は屋上来いよ」
そう言って歩いてきた道を戻っていった。

うーん…ますますわからないぞ東郷リュウ。

歩きだす前に、東郷先輩の胸板の固さと手つきが一瞬よみがえった。
……は、早く忘れよう。

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