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メイクビリーブ

校門を目指して、俺は全力で走った。
ただただ、頭が感情を整理できなかったんだ。

あぁあ、こんなことになるなんて思ってもみなかったなぁ…



今朝、俺のクラスに転校生がやってきた。喧嘩大好き勉強大嫌い、不良揃いのうちに似合わない、中性的な美少年だった。
むさ苦しいこの男子校に、1人だけ迷い込んだ少女みたいだ。

「く、栗原…夏樹ですっ」
ぺこりとお辞儀した転校生。
ナツキちゃん、名前も振る舞いも女の子みたいじゃんか!!
そんな事を考えていると転校生は俺の前の席に座った。

そこ空いてたんだ。勉強大嫌いな不良揃いだから空いてんのかサボってんのか死んだのかいちいちわかんない。

転校生が振り返る。
「よろしく…お願いします」
「おぉ!!よろしく。俺は中谷力です」

チカラ、と転校生は呟く。
「あ、名前に反して全く力はないから。どう見ても俺だけ弱そうっしょ」
そう言って肩をすくめてみせた。
我ながら気持ち悪い仕草だけど、やっとこのクラスに仲間ができたのだ。早く仲良くなりたいと思うのは当然。

そう、初めての『不良じゃない仲間』だ。
って言っても、常人離れした美形だから親近感までは抱けないけどね…



「チカラさん、お昼ご一緒していいですか?」
俺が努力するまでもなく、転校生は仲良くしてくれた。
教科書も俺に見せてと頼んできたし。……まぁ隣も前も持ってきてないからこれは当然なんだけど。

「夏樹、お昼あんの?」
「お弁当を持ってきました」
「おー俺も。じゃあ食おう」

2人で手作り弁当を広げた。購買もあるけど、俺みたいな非不良はカツアゲされて横取りされてボコボコにされるのがオチだからね。

夏樹にそれを言うと、慌てて「明日からもお弁当にします」と宣言した。それがいい。

「しかも夏樹、女顔だから…」
夏樹がおにぎりをかじったまま、続きを待つ。
だけど俺はそのまま黙りこんでしまった。

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あきゅろす。
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