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「う、」

恐る恐る、手を進めていく。
数える程にしか触れたことのないそれは、
扱いにあまりにも困って

「い、たぁあ!」

痛い痛い。
手の先がじんじんと痛む。
指にはぷっくりと真っ赤な血が浮かんでいた。

「ホントに大丈夫なのか、それ」

「だ、大丈夫じゃ…ない」


幸村に見つかり幸村の部屋までズルズルと引きずられながら連行された。
不二くんとやらは監督に呼ばれてもうすでに行ってしまったらしい。

「…出来なさそうな顔してんだろぃ」

「なんだとお!?」

「いや、出来てねえだろ」

いや、出来てないけど。
出来ませんけどね、料理!

幸村にお仕置きとして命じられたのは昼食作り。
…料理を出来ないあたしにとって地獄のような命令だった。

「カレーも作れねえのかよぃ」

「無理だよ!」

カレーなんて高度なもの作れるわけないだろ!
だいたい知ってて言う幸村もそうとうな鬼だ!(知ってたけどな!)


「大きさバラバラじゃねぇか」

「うう、兄貴に習っとけばよかった…」

うちの兄貴は小さいカフェをやっている
オムライスやら簡単な料理ならば兄貴でもできるのだ(もともと器用な人間だ)

「え、お前兄貴居んのかよぃ」

「え、うーん」

「なに悩んでんだよ」

兄貴はいる。いるんだけど、
あいつは何か幸村と同じ空気を纏っている。
なんでもそつなくこなしてしまうような(努力はしているんだろうが)

「ふむ、会沢沢典人。24才。"RUI"を経営」

「…なんで知ってんの柳」

「…たまたま寄ったことがあっただけだ。たまたま、な」

「うそだろ」

なんでそんなにたまたま強調してんの、あきらかに怪しいだろ。
絶対狙って行きましたねコノヤロー。
参謀がそんな人間だとは知らなかったよ、うそをつくなんて!

「いっておくが、俺は精市に目的地を知らされず連れて行かれたのがあの場所だっただけだ」

文句なら精市に言え。聞き覚えのあるセリフを吐きながら柳は思い出したように口を開いた。

「1分37秒前から精市がカレーが出来上がるのをまっているが」

「はやく言ってくださりやかれ柳ぃいいい!」

柳から吐かれた言葉はとてつもない言葉だった
その言葉を証明するようにブン太の隣には幸村の姿があった。

「あと5分で約束の時間だけど?」

「20分でつくるとか無理だからぁあああぁ!」







(またお仕置きの追加だね?)(この鬼っ、てぎゃああ!ごめんなさい幸村様ー!)(学習しねぇな)

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あきゅろす。
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