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「あぁあああぁああああ!!」
昼休みの賑やかな教室にでかい、というよりかなりうるさい声が響いた。
教室にいる人間は、いつものことなのか大きく騒ぎたてることは無かった。
声の元の少女は片手には2つの菓子パンを持っていて、もう片方の手は前に突き出し何かを指差している。
その表情は驚いた、ということをありありと表していた。
しかし、その表情もみるみる変わっていき、次第に怒り出したような表情になった。
否、怒りだした"ような"ではない
実際怒っているのだ。
少女の指の先にいる赤毛の少年――――。
丸井ブン太はその声が迷惑だと言わんばかりに整った顔を歪めていた。
そして、ブン太の手には箸とお弁当箱。
お弁当箱の中身はもうほとんどカラに近いようだった。
ブン太の隣にいる少年、仁王雅治はブン太や少女、@@奈佳と違って大人びた顔の口元をニヤリと歪めながら目の前で怒っている何回目になるかも分からない喧嘩に耳を傾けた。
「またあたしのお弁当食べてる―――!」
どうやら、奈佳が怒っている理由はブン太の持っているお弁当にあるようでドカドカとブン太の方に歩いていった。
「はぁ?お前がその大量のパン食べても太らないように食ってやってんだろぃ」
ブン太が手にもっていたお弁当は奈佳のもののようで、奈佳が怒っているのはブン太が勝手にお弁当を食べているからだった。
「はぁああああ!?食べてくんなくても自分で食べるもん!だいたいブン太だって同じくらい食べるくせに!てゆうか太るとかブン太に言われたくない!」
"き―!今日の卵焼きはうまく出来たのに―!"と叫んでいる奈佳と、まだ残っていたおかずを食べ続けるブン太を見て、仁王は"仲がいいのぅ"と呟いた。
お弁当盗難事件
(それはいつもの光景)
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