color
わたしのすきないろ、あお。
小さいころから変わらなくて、中学にはいってからはもっとすきになった。
でもわたしの頭の上に輝くリボンは桃色、ピンク。
兄ちゃんにもっと女の子らしくしろっ、てつけられた。
わたしはあおがすきなのに、
すぐに取ろうとしたけどやめた。
あおがもっとすきになった原因の人が"似合ってる"って言ってくれたから。
「奈佳―っ行くぞ!」
「はぁーい!」
青、蒼、碧
今までこの色ばっかりだったわたしの頭の上のリボンは、最近使われずにしまいこまれている。
代わりにテーブルの上に出ているのは兄ちゃんがプレゼントってくれた赤、ピンク系のリボンたち。
「おまたせっ」
「おーおせーよ」
「おはようさん」
「おはよう!仁王先輩っ」
慌てて玄関をでて自転車に跨がる兄ちゃんの後ろに乗る。
タイミングよく、仁王先輩が後ろから自転車に乗って隣に止まった
仁王先輩、わたしがあおがもっとすきになった原因で、すき、なのかもしれない人。
「おう、今日も似合っとるな」
「ありがとっ!」
仁王先輩が、初めて褒めてくれたのは兄ちゃんに無理矢理ピンクのリボンをつけられた日だった。
話しかけにくい見た目のわりに、ノリのいい仁王先輩だけど、外見のことを誉められたのは初めてだった。
だから、印象に残ったんだと思う
それからなぜか、ピンクのリボンをつける気になった
わたしがピンク系の色を使っているのをみた兄ちゃんは、どこからかいろんなアクセサリーを持ってくるようになった
「ほら、行くぞ」
「んー」
兄ちゃんと一緒に学校だっていっているし、比較的仲のいいわたし兄妹
兄ちゃんの髪の毛色は染めた見事なオレンジ。(わたしは黒だけど)その派手な髪色と明るいリボンが似合うと周りの人によく誉められるし、今まであおばっかりでピンクを使うのは恥ずかしい気もしなくもないけど、仁王先輩に似合ってるって言ってもらえるからそれでもいいかな、なんて思えてる。
「兄ちゃん、今日部活?」
兄ちゃんが部活がある日は大体一緒に帰ってる
ブラコン?とか言われることもあるけど朝が自転車だから帰りが歩きなのはいただけない。
わたしは美術部だから大抵先に終わって待ってるんだけど
「おう、乗って帰るだろ?」
「うん、お願い」
そんな会話をしてて、学校につく。先に自転車を降りて先に校舎に入る、校舎に入れば仁王先輩との接点なんてなにもなくなる。
すこし寂しく思いながらも、今日も仁王先輩が褒めてくれたことに胸を弾ませて教室にはいった。
[次#]
無料HPエムペ!