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ゴロゴロっ!


「わ、ぎゃああ!」

桜が舞い、暖かな日が当たる春。
暇でしょうがないHRを居眠りしていたわたしは、気付いたら図書委員というなんとも面倒なものになっていて。
今日はその仕事1日目なわけなんだけど、
仕事は以外と楽だった。(することが多いわけでもなかったし)
でも、だ。
仕事を任せたまま出ていった司書の先生がなかなか帰ってこない。仕事が終わってから15分は待ってるけど帰ってくる気配は全くないし一緒に当番になった越前くんとやらはよほど眠いのかうとうとしている

もう越前くんごと放置して帰ろうかなー、なんて考えていたときだった
外はいつのまにか雨が降っていて、結構な大雨になってる
おまけに、大きな雷鳴を伴って。

言ってしまうと、わたしは雷が大の苦手。
ホントは音が聞こえた瞬間に逃げ出したいくらいには。
むしろ、逃げようとしてた今回も例外なく。
でも、出来なかった。
それは、雷の音で目が覚めたのか起きてしまった越前くんと目がばっちりとあってしまったから。

目があったかなくらいに通りすぎればよかった、そしたらわたしは一目散に逃げていたのに。
残念ながら、目があったまま二人してそのまま固まっていて。
カバンをもって逃げようとしているところをばっちりと目撃されました。

そのままのカッコはあまりにも間抜けだから、仕方なくカバンを置いた。

「あ、はは…おはよう越前くん」

「ん。」

まだ眠いのかあくびをしている越前くんにさりげなく近づく。
雷が鳴ってるっていうのに1人でいるなんて耐えられない!
どうしよう、次に鳴ったらホントに気を失う自信がある。
越前くんならそれを放置しそうな気がするからそれはイヤ!絶対ダメ!

「苦手なの?」

「はいっ!?」

馬鹿なことを考えていたせいで間抜けな声を出しちゃったのにもかかわらず、越前くんは華麗にスルーして話し続ける(突っ込んでくれないと恥ずかしいじゃん!)

「奇声あげてたじゃん、さっき」

「あ、ええ、うん。苦手」

聞かれてたぁあああ!
越前くんが雷の音で起きてくれたことを祈ってたけど、やっぱりわたしの叫び声で起きてしまったらしい

「ごめんねうるさく
"ゴロゴロっ"
てえええ!」

「な、」

「うわーん!もうやだー!越前くんおいて逃げようとしてごめんなさいいい!もう許してくださああい!」

思ったより雷は近づいていたらしくて、近かった音に思わず越前くんに抱きついてしまった、らしい。

「あわわわわ!ごめ…!」

ゴロッ!ピシャッ

「ぎゃ――――!」

慌てて離れようとしたところに、第二弾が来てしまって、更に抱きついた。
というより、絞めてる。(主に首あたりを)

「ちょ、はな…」

「ぎゃああ!もっ、助けてアン〇ンマン――!」

越前くんは抵抗はしているけど、無理矢理離さないあたり、意外と優しいのかもしれない


「ねえ、あんた…」

「わ―――!ごめんなさい―!」

「はあ、おとなしく座ってくれる?これじゃしばらく帰れないんだから」

嫌々、というのを表情に表しながら、越前くんは隣に座ることに許可をくれた
ありがたく座らせてもらい、雷にびくびくしながら縮こまる。

だ、だってもう隣に座るとか帰れる雰囲気ゼロだもんいや1人で帰るのは無理があったからいいんだけれどもね

「あんたさぁ…」

「ふぎゃああああぁぁあ!」

「…っうるさい」

突然話し出した越前くんにまで驚いて思わず離れた。が、雷が遠くで光って慌てて越前くんの隣に戻る

「ごごごめんね!でもちょっと隣にいてくれると助かるっていうか!」

あのあのうるさいのは分かってるんですが!そんなあからさまにイヤな顔されると傷つくんですが!


イヤな顔というより苦い表情をしている越前くんにしがみついているわたし。

「いいけど?」

「…え」

「鳴りやむまでは、一緒にいてあげてもいいけど?」

その奇声聞いてて楽しいし、なんて呟く越前くん。
嬉しさのあまり越前に抱きついた。

「あ、ありがとうううぎゃああああ!」

最後の叫び声は雷に驚いたからとかじゃありません
待っても待っても来ない司書の先生。と、生徒らしき制服姿の人。

「遅れてごめんねー」

「おーちび!迎えに来たにゃー。ってあり?」

「……はぁ」

「あわわわ!ごめんなさいいい!」

「今行くっス」

越前くんは制服姿の先輩らしき人の方へ向かっていった。
それよりも、見られていたんだよ、ね?
……恥ずかしい。

「キミも帰っていいよー。お疲れ様、邪魔しちゃってごめんね?」


あまりにも先生が普通にいうから、理解するのに時間がかった。けど



この時間は、君の隣で
(越前くん!また、また雷が鳴ったら隣に居てくれる!?)(図書室でなら、ね)




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