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隣の桑原くん



「えー、」

4時間目が始まりしばらくだった、気がする。
残り20分というところ。
周りの生徒も眠っていたり、早弁をしていたりと授業に集中している人は少ない。
そんな中でも、あたしの隣の席に座る桑原くんは真面目に授業を受けている。
春からこんな夏までずっと隣の席だったけど、桑原くんが居眠りしているところは見たことがない。(うちの担任田中先生は極度のめんどくさがりなので席は春から変わらない)

「(眠いい…)」

降りてくるまぶたを必死に押し上げながら、授業を聞こうと努力はした。
したけれど眠さには逆らえず、まぶたはだんだんと降りてきている。

「(あ、お腹も空いたかも、)」

ふっ、とそんな考えが浮かんだときだった。


ぐぅきゅるるるる〜

「…………」

は、恥ずかしい。
お腹、鳴っちゃった。
周りをキョロキョロ見てみる。
偶然だれも聞いてなかったみたいで、ホッとした。
のに、"バチッ"そう表していいくらいに目があった。
その、…桑原くんと


「あ、わ…。聞いて、た?」

聞いてませんように!そう祈るけど桑原くんの表情をみれは聞かれていたのは明らかだった。
だって桑原くん、必死で笑うの我慢してるもん!
我慢してくれてはいるけど、肩が震えている。

「ふっ、あ、いや。」

「……恥ずかしい」

「ははっ、ほらこれ。」

「え?」

桑原くんが笑いながら差し出したのはピンクの可愛いアメ。

「腹減ってるんだろ?やるよ」

「わ!ありがとっ、桑原くん」

ありがたくアメを頂いてお礼を言った。
少し、見た目は怖い桑原くんだけど中身はすごく良い人だった。

「なあ、桑原って呼び慣れてねえんだよ。ジャッカルでいいぜ」

「うんっ、ジャッカルくんって呼ぶね!」

「ああ」

あ、ジャッカルくんから貰ったアメ美味しいなっ、て内心呟いて、時計をみる。
残り8分。
まだまだ長いなあっ、て思っていた時間も、以外と短かった。
あと8分で、終わる。
8分が、桑原くんと仲良くなるチャンス!

「あ!さっきのは、みんなに内緒だよ?」

「ああ、…ふはっ」

ジャッカルくんは思い出したのかまた笑いだしてしまった。


「もう!思い出し笑いとかはみんなの前でやめてね?二人の秘密だよ?!」




(はー、これでバレないよねっ)(二人の秘密、?)
"ね、さっき盛大にお腹なってたね!"
(みんな聞いてたと思うぞ)


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